
今年からリーグ編成が変更となり、関東連盟に所属する大学3チーム、クラブ8チームの合計11チームによって争われたジャイアンツ杯争奪ヴィーナスリーグはエイジェックが連覇を達成。
各チーム10試合と昨年と比べても試合数が増加した2022年のヴィーナスリーグを記録で振り返っていきます。
第二弾は個人打撃成績編。最多安打・首位打者・最多打点・最多盗塁・最高長打率・最高出塁率・最高OPSの計7部門を紹介していきます。
規定打席は試合数×2.5(試合数は不戦勝・不戦敗を除く)とし、計64選手を集計の対象としました。
[規定打席]
20打席:エイジェック・埼玉西武LL・日大国際
23打席:尚美学園大学・平成国際大学・ハナマウイ・GOODJOB/バンディッツ
25打席:アサヒトラスト・ZENKO BEAMS・侍・ゴールドジム
※本記事上の記録はmegaphone独自の集計です。
最多安打
順位 | 選手名 | 所属チーム | 打席 | 安打 |
1 | 渡辺 茜音 | アサヒトラスト | 32 | 13 |
2 | 田端 凜々花 | 尚美学園大学 | 30 | 12 |
3 | 石垣 麻弥乃 | 尚美学園大学 | 29 | 11 |
3 | 有坂 友理香 | アサヒトラスト | 29 | 11 |
3 | 内永 芽依 | ZENKO BEAMS | 34 | 11 |
6 | 内藤 なつ美 | 尚美学園大学 | 24 | 10 |
6 | 大須賀 美樹 | ハナマウイ | 28 | 10 |
6 | 山下 陽夏 | ゴールドジム | 28 | 10 |
6 | 生井 美桜 | 平成国際大学 | 29 | 10 |
最多安打はアサヒトラストの渡辺茜音選手。渡辺選手はシーズンを通して安定した活躍を見せ、全10試合のうち8試合で安打を記録。捕手として守備の面でも重要な役割を果たしながら、打撃面でもチームに貢献しています。
安打数部門はアサヒトラストと尚美学園大学の選手が多く上位に入賞する結果に。チーム打率が.300を超えている両チームの打撃力の高さが個人成績からも窺えます。
首位打者
順位 | 選手名 | 所属チーム | 打数 | 安打 | 打率 |
1 | 内藤 なつ美 | 尚美学園大学 | 17 | 10 | .588 |
2 | 田端 凜々花 | 尚美学園大学 | 25 | 12 | .480 |
3 | 大須賀 美樹 | ハナマウイ | 23 | 10 | .435 |
4 | 辻野 玲奈 | エイジェック | 21 | 9 | .429 |
5 | 渡辺 茜音 | アサヒトラスト | 31 | 13 | .419 |
6 | 相坂 仁菜 | アサヒトラスト | 22 | 9 | .409 |
7 | 石垣 麻弥乃 | 尚美学園大学 | 27 | 11 | .407 |
8 | 山下 陽夏 | ゴールドジム | 25 | 10 | .400 |
9 | 菊地 碧依 | 侍 | 20 | 8 | .400 |
9 | 阿部 希 | エイジェック | 20 | 8 | .400 |
リーグ平均 | .255 |
首位打者は尚美学園大学の内藤なつ美選手。内藤選手は24打席とやや少ないものの、リーグ戦中盤には3試合連続マルチ安打を放ち合計10安打。打率.588と2位の同大学・田端凜々花選手に1割以上差をつけています。
尚美学園大学は3名の選手が打率.400超えを達成。今季は春と秋の双方の大学選手権で全勝優勝で大学王者の座を奪還。ヴィーナスリーグでは不戦敗を含み3敗を喫したものの、高い打撃力を発揮し、勝利数は2位の埼玉西武LLに並ぶ7勝を記録しています。
最多打点
順位 | 選手名 | 所属チーム | 打席 | 安打 | 打点 |
1 | 田端 凜々花 | 尚美学園大学 | 30 | 12 | 12 |
2 | 安達 瑠 | エイジェック | 24 | 7 | 6 |
2 | 篠原 優華 | 尚美学園大学 | 28 | 7 | 6 |
2 | 石垣 麻弥乃 | 尚美学園大学 | 29 | 11 | 6 |
2 | 出口 彩香 | 埼玉西武LL | 30 | 4 | 6 |
6 | 相見 菜月 | ゴールドジム | 21 | 4 | 5 |
6 | 辻野 玲奈 | エイジェック | 23 | 9 | 5 |
6 | 阿部 希 | エイジェック | 24 | 8 | 5 |
6 | 清水 優花 | 埼玉西武LL | 24 | 4 | 5 |
6 | 小菅 ひより | GOODJOB | 25 | 6 | 5 |
6 | 内永 芽依 | ZENKO BEAMS | 34 | 11 | 5 |
最多打点は2位と2倍の差となる12打点を記録した尚美学園大学の田端凜々花選手。田端選手は4番捕手として投打の要を担い、4月の侍戦では4安打6打点の大爆発。チーム打率.300を超える強打のチームの中軸として活躍しています。
2位以下には6打点を記録した4選手、5打点を記録した6選手がランクイン。エイジェック・辻野玲奈選手や埼玉西武LL・出口彩香選手がランクインするなど、チームを上位に導いた主将の勝負強い活躍も印象的です。

最多盗塁
順位 | 選手名 | 所属チーム | 打席 | 盗塁 |
1 | 田崎 萌杏 | ゴールドジム | 32 | 8 |
2 | 小坂 未羽 | 平成国際大学 | 26 | 7 |
3 | 佐々木 希 | エイジェック | 24 | 5 |
3 | 太田 茂恵佳 | 平成国際大学 | 23 | 5 |
5 | 萩野 芳海 | 平成国際大学 | 18 | 3 |
5 | 長田 朱也香 | バンディッツ | 19 | 3 |
5 | 大野 七海 | エイジェック | 22 | 3 |
5 | 島野 愛友利 | ゴールドジム | 24 | 3 |
5 | 西門 美乃里 | ハナマウイ | 30 | 3 |
最多盗塁はゴールドジムの田崎萌杏選手。積極的な走塁で単独トップとなる8盗塁を記録しています。2位には1盗塁差で平成国際大学の小坂美羽選手がランクイン。長打や連打が少なく、ランナー1塁からの得点確率が低い女子野球において、盗塁の重要性は高いものだと思われます。
ゴールドジムと平成国際大学はチーム別の成績でもトップタイとなる20盗塁を記録。1位の田崎選手、2位の小坂選手を筆頭に、チーム単位でも積極的な盗塁を心掛けていることが窺えます。
最高長打率
順位 | 選手名 | 所属チーム | 打数 | 安打 | 塁打 | 打率 | 長打率 | IsoP |
1 | 田端 凜々花 | 尚美学園大学 | 25 | 12 | 17 | .480 | .680 | .200 |
2 | 内藤 なつ美 | 尚美学園大学 | 17 | 10 | 11 | .588 | .647 | .059 |
3 | 辻野 玲奈 | エイジェック | 21 | 9 | 13 | .429 | .619 | .190 |
4 | 山下 陽夏 | ゴールドジム | 25 | 10 | 14 | .400 | .560 | .160 |
5 | 阿部 希 | エイジェック | 20 | 8 | 11 | .400 | .550 | .150 |
6 | 生井 美桜 | 平成国際大学 | 28 | 10 | 15 | .357 | .536 | .179 |
7 | 大須賀 美樹 | ハナマウイ | 23 | 10 | 12 | .435 | .522 | .087 |
8 | 相坂 仁菜 | アサヒトラスト | 22 | 9 | 11 | .409 | .500 | .091 |
8 | 菊地 碧依 | 侍 | 20 | 8 | 10 | .400 | .500 | .100 |
リーグ平均 | .255 | .312 | .057 |
最高長打率は尚美学園大学の田端凜々花選手。田端選手は純粋な長打力を表すIsoP(長打率-打率)でも集計選手中最高となる.200を記録しています。また、田端選手は打点部門と合わせて2部門で1位を獲得する結果となりました。
IsoPの観点で見ると、エイジェックの辻野玲奈(長打率3位)、平成国際大学の生井美桜選手(長打率6位)が田端選手に次いで2位・3位という結果に。比較的長打が出にくい女子野球において、『長打の多さ』は得点に繋がるという面でも、観客からの目線としても魅力のある選手です。

最高出塁率
順位 | 選手名 | 所属チーム | 打席 | 打率 | 出塁率 | IsoD |
1 | 内藤 なつ美 | 尚美学園大学 | 24 | .588 | .708 | .120 |
2 | 田中 美羽 | 埼玉西武LL | 23 | .385 | .652 | .268 |
3 | 佐々木 希 | エイジェック | 24 | .375 | .583 | .208 |
4 | 山崎 まり | 埼玉西武LL | 20 | .385 | .556 | .171 |
5 | 田端 凜々花 | 尚美学園大学 | 30 | .480 | .552 | .072 |
6 | 大須賀 美樹 | ハナマウイ | 28 | .435 | .536 | .101 |
7 | 相坂 仁菜 | アサヒトラスト | 29 | .409 | .519 | .109 |
8 | 英 菜々子 | 埼玉西武LL | 32 | .300 | .500 | .200 |
9 | 菊地 碧依 | 侍 | 27 | .400 | .500 | .100 |
10 | 辻野 玲奈 | エイジェック | 23 | .429 | .500 | .071 |
リーグ平均 | .255 | .353 | .098 |
出塁率1位は尚美学園大学の内藤なつ美選手。内藤選手は24打席で17出塁、出塁率.708という驚異的な成績を記録。期間が短いため単純比較はできませんが、NPBにおける出塁率のシーズン記録が.487(1986年 落合博満)ということからも、内藤選手の成績がいかに優秀かということが分かります。
2位には埼玉西武LLの田中美羽選手がランクイン。田中選手は出場7試合で10個の四死球を奪い、出塁率と打率の差を表すIsoDは.268で集計選手中1位の活躍。チームでの総四死球数が60個と大差で1位となった埼玉西武LLは4位にも山崎まり選手(IsoD:6位)、8位にも英菜々子選手(IsoD:4位)がランクインするなど、チームとして出塁することに対する意識の高さが感じられます。

最高OPS
順位 | 選手名 | 所属チーム | 長打率 | 出塁率 | OPS |
1 | 内藤 なつ美 | 尚美学園大学 | .647 | .708 | 1.355 |
2 | 田端 凜々花 | 尚美学園大学 | .680 | .552 | 1.232 |
3 | 辻野 玲奈 | エイジェック | .619 | .500 | 1.119 |
4 | 大須賀 美樹 | ハナマウイ | .522 | .536 | 1.057 |
5 | 田中 美羽 | 埼玉西武LL | .385 | .652 | 1.037 |
6 | 山下 陽夏 | ゴールドジム | .560 | .464 | 1.024 |
7 | 相坂 仁菜 | アサヒトラスト | .500 | .519 | 1.019 |
8 | 阿部 希 | エイジェック | .550 | .455 | 1.005 |
9 | 菊地 碧依 | 侍 | .500 | .500 | 1.000 |
リーグ平均 | .312 | .353 | .665 |
出塁率と長打率の合計を表すOPSは尚美学園大学の内藤なつ美選手が1位に。内藤選手は長打率2位、出塁率1位と双方で好成績を残し、2位に.100以上の差をつけるOPS1.355を記録。内藤選手は首位打者・最高出塁率・最高OPSの3部門で1位を獲得しています。
OPS部門では9選手が1.000を超える好成績を記録。今季のヴィーナスリーグの平均OPSは.665とNPBの平均(2021年 セリーグ.720/パリーグ.684)よりも低いため、上記の9選手は非常に優秀な結果を残していると言えます。

ヴィーナスリーグ個人打撃成績編、いかがでしたでしょうか?
チームとしては3位という結果の尚美学園大学が打撃力という部分では各部門で好成績を残していたことが分かりました。打者部門ではランクインする選手があまり多くなかった優勝のエイジェックや準優勝の埼玉西武LLは投手部門ではどのような選手がランクインしてくるのかにも注目です。
明日は投手成績を紹介します。お楽しみに!!