大学選抜強化プログラム2022『大学女子硬式野球選抜 vs 阪神タイガースWomen』

先日、高校女子野球選抜の強化プログラムとして行われたイチロー氏率いるKOBE CHIBENとの一戦に続き、大学女子硬式野球選抜の強化プログラムが淡路島と甲子園で2日間に渡り開催さました。

本記事では、甲子園球場にて行われた阪神タイガースWomenとの一戦の模様をお届けします

大学選抜参加メンバー・淡路BRAVEOCEANSとの試合の模様はこちらからどうぞ。

試合終盤の集中打で逆転に成功した大学選抜が勝利!!

雨の中行われた阪神タイガースWomenと大学選抜との一戦は、終盤の集中打で逆転に成功した大学選抜が勝利した。

全日本大学女子硬式野球選抜(阪神甲子園球場)
全日本大学女子硬式野球選抜(阪神甲子園球場)

試合は序盤、阪神タイガースWomenのペースで進む。先頭・前田桜茹の右中間を破る二塁打を皮切りに、一死二三塁のチャンスを作ると、この試合が引退試合となった4番・高塚南海が放ったライトへの飛球が犠牲フライに。「ヒットを打ちたかったですが、持ち味である遠くに飛ばすということを活かしてチームに貢献できて良かった。」と高塚。前田・高塚の女子プロ野球育成時代から苦楽を共にした“凸凹コンビ”で1点を先制した。阪神はその後も中江映利加のタイムリー、前田桜茹の2打席連続タイムリーで5回表を終えて4点のリードを奪う。

引退試合で先制の犠牲フライを放った高塚南海選手(阪神タイガースWomen)

4点を追う展開となった大学選抜は5回裏、先頭の7番・工藤里菜(札幌国際大)が左中間を破る二塁打から後続も続き満塁のチャンスを作り、2番米谷奈月(尚美学園大)の押し出し四球で1点を返す。さらに続く大学選抜の主将・弓埜里桜(大阪体育大)が2点タイムリーを放ち1点差に。この試合を最後に阪神TWの退団が決まっている横井千晃・達磨沙嬉の大阪体育大学OGバッテリーを後輩が捉えた。大学選抜は5番時田萌奈(IPU環太平洋大学)にもタイムリーが飛び出し、この回一挙4得点で同点に追いつく。

先頭打者で二塁打を放ちホームインした工藤里菜選手(札幌国際大学)
先頭打者で二塁打を放ちホームインした工藤里菜選手(札幌国際大学)

大学選抜は6回表の守りを柏崎咲和(大阪体育大学)・相田千陽(日大国際)の継投で0点に抑えたその裏、二死一二塁から2番・米谷がタイムリー二塁打を放ち勝ち越しに成功。その後雨足が強くなり試合はここで打ち切りに。大学選抜は淡路BO・阪神TWと日本代表を擁する強豪クラブ相手に2試合連続で逆転勝利。両試合とも最終回を抑えた相田が2試合連続勝利投手となった。

2試合連続で勝利投手となった相田千陽投手(日本大学国際関係学部)
2試合連続で勝利投手となった相田千陽投手(日本大学国際関係学部)

3選手がこの試合で退団を発表 阪神タイガースWomen選手インタビュー

“凸凹コンビ”こと前田桜茹選手(左)と高塚南海選手(右)
“凸凹コンビ”こと前田桜茹選手(左)と高塚南海選手(右)

引退試合で先制の犠牲フライを放ち1打点の活躍・高塚南海選手
「節目節目で迷った時期はあったのですが、続けてきたおかげで阪神のユニフォームを着れたり、最後の試合を甲子園でできたので、続けてきたことが正しかったんだなと思えました。(最終打席の犠牲フライについて、)ヒットが欲しかったところではあったのですが、私の持ち味が遠くに飛ばすところなので、チームのために先制点が取れるようにという気持ちで打席に向かいました。今はまだ実感はないですが、今まであった野球が生活の中からなくなって、少しずつ実感していくのかなと思います。また数年後野球がしたくなるかもしれません(笑)」

親友の引退試合で3安打3打点の活躍・前田桜茹選手
「(高塚選手の)最後ということで、まずは自分が塁にでて、(高塚)南海に返してもらいたいと思っていたので、しっかり塁にでて南海の最後の打席でタッチアップで帰ることができたので、『感慨深いな』とベンチで2人で話していました。(高塚選手は)プロの時からずっと一緒ですごく仲もいいですが、同じ外野手でお互い悔しい思いもしていたので、相乗効果でお互いに切磋琢磨してここまででき、すごくいいライバルだったと思います。」

本日の試合で阪神TWの退団が発表されている横井千晃投手
「今シーズン最後の試合を甲子園でやらせてもらえて楽しかったです。甲子園でできることは今後ないと思うので、感謝しかないです。(大学からの先輩である)沙嬉さんとのバッテリーも最後だと思うと、ジーンときました。すごく濃い2年間を経験させてもらって、選手もスタッフの方々にもすごく支えていただきました。野球がない人生は考えられないと思うので、どういう形でも良いので女子野球に関わっていきたいと思います。」

本日の試合で阪神TWの退団が発表されている達磨沙嬉選手
「雨が降って中止になると思っていたので、なんとか持ってくれて良かったです。やり切ったなという気持ちとまだできるなという気持ちが半々です。今までの野球人生の中でも一番濃い2年間でした。一緒にプレーしている選手たちの意識の高さや野球に取り組む姿勢が誰を見ても尊敬できる環境だったので、負けないように毎日頑張ることができました。今後はタイガースWomenの一番の第ファンとしてみんなを応援していきたいと思います。」

この試合で退団を発表している横井千晃投手(左)と達磨沙嬉選手(右)
この試合で退団を発表している横井千晃投手(左)と達磨沙嬉選手(右)

2試合の強化プログラムを勝利で飾る 大学選抜監督・選手インタビュー

全日本大学女子硬式野球選抜(阪神甲子園球場)

大学選抜・柳里菜監督(日本大学国際関係学部監督)
「雨で絶対にできないと思っていたので、なんとかできたことは本当に良かったです。甲子園に立つことを想像して野球をやってこなかったので、今の子達は本当に恵まれているなと思います。私自身も監督としてですが、本当に楽しかったです。序盤は点が入らなかったですが、振っていけてはいたので後半勝負だなと思っていました。今回みんなのプレーを見ていて野球を楽しむということが大切だと改めて感じてたので、チームに帰ってもそういうことを伝えていきたいです。」

大学選抜で主将を務め、2打点の活躍・弓埜里桜選手(大阪体育大学)
「いつもの試合とは全く感覚が違って、緊張はしていましたが楽しんでプレーすることができました。昨日は2打席で結果を出せず、キャプテンとしてプレーでも引っ張っていきたいと思っていたので、得点圏で打つことができて良かったです。この大学選抜が大学生たちの目標の一つになっていけばいいなと思います。」

唯一の1年生として選抜チームに参加し、2日間無失点の活躍・柏崎咲和投手(大阪体育大学)
「小さい頃からテレビで見ていて、甲子園で女子が試合をすることができるとは思っていませんでした。甲子園のマウンドに立つことが夢だったので、率直に凄く感動しました。(唯一の1年生としての参加で、)先輩のプレー面や生活面でも余裕があるなと思いました。声をかけてくれたり、自分がプレーしやすい環境を作ってくれました。他チームと関わる機会はあまりないので、人それぞれの考え方や調子の整え方など、考えたこともない野球の楽しさが見えてくるので、今後の野球人生に生きてくる経験ができたなと思います。」

決勝点となる勝ち越しの適時二塁打を放った米谷奈月選手(尚美学園大学)
「回ってきたら初球から打っていこうと振ったらいいところに落ちてくれたので良かったです。(甲子園での試合について、)すごく楽しかったです。緊張とかもなんもなくて、甲子園の舞台で野球ができている幸せをすごく感じました。センターが同じ大学の選手でしたが、いつも一緒に守っている人でも何か違うような感覚でした。こういう楽しみをチームに帰って伝えて、甲子園を目標に野球をする人たちがもっと増えていけばいいなと思います。」

唯一の1年生として選抜チームに参加した柏崎咲和投手(大阪体育大学)
唯一の1年生として選抜チームに参加した柏崎咲和投手(大阪体育大学)
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