女子野球選手100人アンケート2022 長打力部門1位 九州ハニーズ 川端 友紀

「女子野球選手100人アンケート2022」として、「直球」「コントロール」「変化球」「長打力」「バットコントロール」「走塁」「守備」「強肩」の計8部門で現役女子野球選手100人にアンケート調査を行いました。

各部門で1位を獲得した女子野球界トップレベルの9選手(強肩部門は同率で2名が1位)に今シーズンを振り返っていただきます

本記事では長打力部門で2年連続となる最多票を獲得した九州ハニーズ・川端友紀選手にお話を聞かせていただきました。

【川端友紀(かわばたゆき)】
1989年5月12日生まれ。大阪府出身。

[経歴]
和歌山商業高校(ソフトボール)
​​シオノギ製薬(ソフトボール)
京都アストドリームス(2010-2012)
イースト・アストライア(2013-2014)
埼玉アストライア(2015-2018)
エイジェック女子硬式野球部(2019-2021)
九州ハニーズ(2022-)

[日本代表歴]
2012年 第5回女子野球W杯
2014年 第6回女子野球W杯
2016年 第7回女子野球W杯
2018年 第8回女子野球W杯
2021年 第9回女子野球W杯(開催中止)
2022年 第3回女子野球アジア杯(最終候補/開催時期未定)

野球の1番の魅力である柵越えのホームランを年間数本〜10本打つことが目標

小石
まずは、長打力部門1位に選ばれた感想をお願いします。
川端選手
選んでいただいたことは嬉しいですが、私自身まだまだ長打力については課題が残っていると思っているので、もっともっと上を目指して頑張りたいと思います。
小石
課題というと?
川端選手
1番の目標は柵越えのホームランを打ちたいということですが、今年は1本も打てなかったので。過去に打ったことはあるのですが、シーズンを通して数本から10本くらいは打てるようになりたいと思っています。二塁打・三塁打はありましたが、野球の1番の魅力はホームランだと思っているので、「女子でも柵越えが打てる」というところを見せたいですね。
小石
なるほど。やはり柵越えのホームランがあると試合は盛り上がりますよね。
川端選手
そうですね。元々は首位打者を狙うようなヒットや逆方向を意識したバッティングをしていたので、試合になるとどうしてもヒットを狙いにいってしまうというか...そこから今は長打も増やすことも目指しています。試合の中でもフルスイングできる技術が段々と身についてきてはいるのですが、ジャストミートしてホームランというところまではいっていないので、そこを目標に来年度は頑張りたいなと思います。
小石
九州ハニーズを立ち上げ1年目の活動となった今シーズン。チームとしてはどのような1年でしたか?
川端選手
最初は本当に人が集まるのかどうか、試合ができるのかどうか、チームとして成り立つのかどうかという不安の中でのスタートでした。1年目からそんなに上手くいくとは思っていなかったので、正直想像していたよりもすごくいいチームができ、結果もついてきてくれたなという感想です。
小石
1年目のシーズンから全国で準優勝。いい結果に繋がった要因はどのようなところだったと思いますか?
川端選手
本当に縁もゆかりもない地に飛び込んでいって、九州・福岡の皆様に応援していただいたことが一番の要因です。今までは与えられた環境の中で、自分で技術アップだったり女子野球の普及にも取り組んではいたのですが、自分たちが作った環境で、運営や営業の仕事もしながらチームを動かすというところも経験させていただいて、支えてくださる方がいるからこうして野球ができるんだなということを今まで以上に感じる1年だったなと思います。

予備動作をなくし、120%の力を出し切るスイングを意識 きっかけはヤクルトの三冠王・村上宗隆

小石
自らチームを立ち上げ、環境も大きく変化したと思うのですが、練習方法などの変化はありましたか?
川端選手
まだ立ち上げの時期で運営の方の時間もかなり必要だったので、練習の時間というのは正直減ったなと。ただ練習の方法だったり、工夫という面では今まで以上に考えることも増えたなと感じています。
小石
練習内容はどのように変わりましたか?
川端選手
長打力というところで言うと、今まで自分の中で全力で振っているつもりで練習をしていたのですが、それがまだ全力を出し切れていなかったのだと感じました。ティーバッティングなどで、10本振ったらバテてしまうくらい全力で振ることを今年は意識していました。
小石
柵越えのホームランを打つためにはそういった意識での練習が必要なんですね。
川端選手
そうですね。今までは綺麗なスイングやミート力といった部分には自信があったのですが、全力で振り切ってタイミングを合わせることの難しさを感じました。練習の中で全力で振っていると思っていても、それ以上のパワーやスイングの強さに対する意識はまだまだ持てると思います。
小石
なるほど。全力で振っていると思っていてもまだまだ足りていないこともあると。
川端選手
少しでもタイミングをずらされると120%以上のスイングはできないので、そのスイングを毎度の練習の中で出し切るという練習方法はいいなと感じました。もう1つ、今年取り組んでいたこととして、『予備動作をなくす』ということもあります。
小石
というと?
川端選手
私自身もそうでしたが、パワーが少ない女子選手はどうしても反動を使って強く振ろうとしてしまう傾向があります。それをしてしまうとタイミングを取ることが難しく、思っているよりもスイングが大きくなってバットが出てこないということに陥ってしまいます。そこでティーバッティングなどで、打ちにいく直前の体制から、ピクリとも動かずにパッと振る練習をするようになりました。
小石
そのことに気づいたきっかけは何かあったのですか?
川端選手
宮地監督からもアドバイスはあったのですが、目で見て感じたところで言うと、ヤクルトの村上選手のフォームです。構えからビシッとトップを作ったところから無駄な動きがないなと。私の兄もトップから無駄な動きをしないということは昔からずっと言っていたことなので、プロの世界でも大事にしていることなんだなと改めて見ていて感じました。

「九州ハニーズが高校卒業後も女子野球を続けるきっかけに」 今シーズンの女子野球を振り返って

小石
女子野球界全体を見ると今年はどんな1年でしたか?
川端選手
どんどん広まっているなと。特に高校生は甲子園や東京ドームでの開催、イチロー選手との試合であったり、すごい注目してもらえる機会が増えていると思います。ただ、高校を卒業した後に続ける環境がまだまだ課題だと感じているので、九州ハニーズの誕生が野球を続ける1つのきっかけになればいいなと思っています。
小石
九州ハニーズの誕生は九州地方の女子野球界には大きな影響があったことだと思います。1年目からクラブ選手権準優勝という結果も残し、反響もあったのではないですか?
川端選手
すごくありましたね。応援にきてくださった方からは「見ていて面白かった」と言ってもらえたので、応援しててよかったなと思ってもらうことが私たちにとって一番嬉しいので、いつもそういう試合ができるように頑張りたいです。
小石
来年はどのようなチーム作りをしていきたいですか?
川端選手
トライアウトも行ったので、選手の強化もしながらまたいいチームを作っていきたいなと思います。
小石
来年、新たな取り組みとして何かやりたいことはありますか?
川端選手
九州の中でもっともっとファンを増やしたいので、地域の方との交流、野球教室で子供たちと交流をしたいです。そして大会で結果を残し、応援してくださっている方々に恩返しをしたいです。
小石
やはり目標は全国優勝ですか?
川端選手
そうですね。もちろん甘くはないと思うのですが、目の前の試合を全力でやっていきます。本当に今年は奇跡的な試合を多くできましたが、応援してくれている方々に感動や勇気を届けられる試合を1試合でも多くできたらなと思います。
小石
最後に、川端選手自身の来シーズンの目標を教えてください!
川端選手
今回、長打力というところで評価してもらえているので、そこに恥じないように来シーズンはホームランが打てるように頑張りたいと思います!!

女子プロ野球時代から女子野球界のトップを走り続け、今シーズンからは自ら立ち上げたチームで0からのスタートを切った川端選手。“女子野球を夢のある世界に”変えていく川端選手の活躍に来年以降も注目です。

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