女子野球選手100人アンケート2022 強肩部門1位 読売ジャイアンツ 金満 梨々那

「女子野球選手100人アンケート2022」として、「直球」「コントロール」「変化球」「長打力」「バットコントロール」「走塁」「守備」「強肩」の計8部門で現役女子野球選手100人にアンケート調査を行いました。

各部門で1位を獲得した女子野球界トップレベルの9選手(強肩部門は同率で2名が1位)に今シーズンを振り返っていただきます

本記事では強肩部門で同率1位の票を獲得した読売ジャイアンツ・金満梨々那選手にお話を聞かせていただきました。

【金満梨々那(かねみつりりな)】
1999年8月10日生まれ。神奈川県出身。

[経歴]
開志学園高校
平成国際大学
読売ジャイアンツ(2022-)

[日本代表歴]
2017年 第1回女子野球アジア杯

「意識することを1つずつ整理しながら」 正確なスローイングのための意識とは?

小石
まずは、強肩部門1位に選ばれた感想をお願いします。
金満選手
キャッチャーとしてスローイングやキャッチングの部分には自信を持っているので、『強肩部門』で1位をとらせていただいたことや、自分の長所が他の女子選手の方々に認められつつあるのは光栄だなと思います。
小石
遠投はどのくらいですか?
金満選手
78mくらいです。キャッチャーとしては上に向かって投げてどれだけ投げれるかよりも、30mを低く正確に投げるかということが大切だと思っています。
小石
なるほど。あまり遠投の距離は気にしていないと。
金満選手
そうですね。普段のキャッチボールからもしゃがんでから投げたり、“キャッチャーとしてのスローイング”ということを意識してやっています。もちろん遠投もするのですが、低く伸びる球に強い意識を持っています。
小石
スローイングで特に意識していることは何ですか?
金満選手
肩が強くても取ってからが遅くては意味がないので、取ってから投げるまでの速さが大事だと思っています。足の運びやトップまでの動きなど、意識しなければいけないことはたくさんあるので、一気に全部やるのではなくて一個ずつ整理しながらやっています
小石
その中でも1番意識していることをあげるとしたらは何ですか?
金満選手
1番は足のステップです。右足が右バッター側に流れてしまうということが私の癖なので、左バッター側にステップする意識を持っています。身体が流れてしまうと無駄な時間ができてしまうので。
小石
二塁に投げる際に目標としているポイントはありますか?
金満選手
ピンポイントで「ここに投げる」というのはあまり得意ではないので、大体で見ています。その中でもキャッチャーから見て右側に、セカンドがカットで入った時の頭くらいの高さで投げようという意識は持っています。

ゴールドジムの助っ人として全国大会ベスト8に貢献 今シーズンの大会を振り返って

小石
今年の活動を振り返るとどんな1年間でしたか?
金満選手
今年はゴールドジムの助っ人として大会に参加させてもらったのですが、1年間ゴールドジムの一員として動けて良かったと思いますし、自分自身の成長にもなった1年間だと思います。1年間限定ということで、ゴールドジムの選手たちに受け入れてもらえるのかなとも思っていましたが、実際にやってみたらそんなことはなかったです。
小石
やはり実際に活動が始まるまでは不安もあったのですか?
金満選手
そうですね...でも本当に1番最初だけだと思います。ゴールドジムはフレンドリーで明るいチームだったので、4人とも馴染んでプレーできたのかなと思います。
小石
ゴールドジムでの1年間の戦いはどの様なものでしたか?
金満選手
シーズン序盤のヴィーナスリーグは勝てなくて、チームとしても個人としても反省点は多かったのかなと。ただ夏ごろからは一気にチームが出来上がってきて、クラブ選手権や全日本選手権でもベスト8と、ヴィーナスリーグの反省を活かして強くなれたのかなと思います。
小石
チームの調子が上がっていくきっかけはあったのですか?
金満選手
チームのみんながどう思っていたかは分かりませんが、私個人としては夏ごろから「このチームで試合ができるのはあと何試合」「ゴールドジムの一員としてあと何試合」と考えるようになってきて、それで必然的にチーム力が上がってきたのかなと。
小石
去年までは平成国際大学、今年からは社会人としてのシーズン。違いを感じた部分はありましたか?
金満選手
去年は大学4年生でほとんど授業もなく、練習だけ、試合だけという感じでしたが、社会人になって働きながら練習をして、週末には試合をしてという生活が最初は大変でした。

読売ジャイアンツ女子チームの初代主将として来季から本格的に活動をスタート

小石
ジャイアンツのユニフォームの重みは感じましたか?
金満選手
2月の宮崎キャンプで初めてユニフォームを着て野球をしたのですが、私たち4人にしかできないことなので、特別感や身が引き締まる思いでした。
小石
宮崎キャンプにはどの様な形で参加したのですか?
金満選手
アップまでを男子選手と一緒に行い、そこからは女子選手4人で練習していました。最終日には1軍の選手と一緒にシートノック・フリーバッティングにも参加させていただきました。
小石
なかなかできない経験ですよね。
金満選手
そうですね。キャンプは本当に良い思い出になりましたし、間近で1軍の選手のプレーをみて学ぶことも多かったです。
小石
どういった練習をしていたのですか?
金満選手
コーチの方にずっと投げてもらって、ストッピングの形を教わったり、スローイングの足の運びを教わりました。バッティングでは打球スピードを測っていただいたりして、そういうことも初めての経験だったのですごく良かったです。
小石
先日、ジャイアンツの新メンバーが発表され、いよいよ来年からチームとしての活動が始まりますが...
金満選手
やっぱり現在高校3年生の選手が多く入団するので、若いチームになるなと感じています。実際に選手たちともあって、野球のスタイルとしては元気が溢れるチームになるなと感じました。
小石
キャプテンにも任命され、下の世代を引っ張っていく選手になりますね。
金満選手
そうですね。下の世代の選手たちはジャイアンツのことも分からないことだらけだと思うので、技術面も含めて何か聞かれたら教えてあげたいと思います。チームを引っ張っていくに当たって、下の子達が気持ちよくプレーできる環境を作っていきたいです。
小石
キャプテンとして、ジャイアンツをどの様なチームにしていきたいですか?
金満選手
宮本監督もおっしゃっている通り、ジャイアンツは強いチーム・勝つチームにしたいと思っています。そして小中学生や高校生など、下の世代の女子選手から憧れられるチームを作っていきたいと思っています。
小石
最後に、来シーズンに向けた意気込みをお願いします。
金満選手
2023年度からジャイアンツとしてスタートするので、やっぱりジャイアンツは強いなと思ってもらえるような成績を残したいです。私自身も今年は打撃の成績があまり残らなかったので、打てるキャッチャーを目指して頑張っていきます!!

西武・阪神に続いてNPB公認の3チーム目としていよいよ来年からチームとして本格的にスタートする読売ジャイアンツの1期生・初代主将としてチームを牽引する金満梨々那選手。近年盛り上がりを見せている女子野球界でも特に注目を集めるジャイアンツで1年目からどの様な成績を残し、どの様なチームを作っていくのか。金満選手の手腕にも注目です。

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