
こんにちは!静岡大学の島田朱諒です。
突然ですが、野球とソフトボールって似ていますよね。10年ほど前までは男子は野球、女子はソフトボールというような固定観念があったように思います。(もしかしたら今もあるかもしれません。)私が小学生の頃は「野球やっています!」と言うと、「ソフトじゃないの?」と聞き返されるのが当たり前でした。それが最近では「野球やっています!」と言うと、「女子野球部があるの?」と聞かれることが増えてきました。女子野球界の成長を感じます。
実はこの夏、私はひょんなことからソフトボールを経験する機会がありました。(経緯は後ほど説明します。)
そこで今回は、野球歴12年の私が初めてソフトボールを経験して感じたこと、野球とソフトボールの違いや魅力についてお伝えしたいと思います。

大学の準硬式野球部に所属している私ですが、夏休みに入る前、女子ソフトボール部のキャプテンからこんな話がありました。
「女子ソフトボール部の人数が足りなくて、このままだと秋の大会に出られない。もしよければ、助っ人として出場してくれない?」
確かに私が野球を始めたきっかけは北京五輪(2008)で女子ソフトボール日本代表の活躍を見たことでした。しかし、小学生の頃から野球一本でやってきた私はソフトボール初心者です。それでも、野球と違った世界を体験できるかもしれないと前向きに捉え、挑戦することに決めました。
2ヶ月半ソフトボール部の練習に参加した後、今回私が出場したのは10月2,3,9日に愛知県で行われた東海地区大学ソフトボールリーグ戦です。
そこで私が感じた野球とソフトボールの大きな違いはこんなところでしょうか。
①塁間が狭い
②ランナーのリードがない
③ピッチャーの投球方法
詳しくみていきましょう。
Contents
塁間の短さに対応した選手の技術がスピード感に

野球とソフトボールの塁間は以下の通りです。
野球:27.431m
ソフトボール:18.29m
参考までに投手板から本塁までの距離は以下の通りです。
野球:18.44m
ソフトボール:12.19m(女子)
全然違いますね。野球でいうマウンドの距離がソフトボールではほとんど塁間ということになります。ソフトボールの試合を通して感じたことは、内野安打が野球の数倍多いことでした。塁間が短いということは守備範囲もコンパクトになりますが、当然ランナーが走る距離も短くなるため、サード・ショートゴロが内野安打になる確率は野球より高いのかもしれません。
野球の塁間に慣れているため、ほとんどすべての送球がスナップスローでできてしまうくらいでした。だから、内野手はとっても大変。捕球してからワンステップで投げなければセーフになってしまいます。ソフトボールの魅力のひとつであるスピード感の正体は、塁間の短さに対応した選手の技術なのでしょう。
また、ソフトボールではダブルベースが採用されています。バッターランナーが一塁を駆け抜けるときオレンジベースを踏むという、あれです。これは、一塁でのクロスプレーが多く、接触を避けるために1994年の第8回世界女子ソフトボール選手権大会から使用されています。(参考:公益財団法人日本ソフトボール協会HP)

そして、ランニングホームランが多いことも特徴です。ソフトボールではホームベースから外野のフェンスまでの距離が約70mです。当然ですが、ダイヤモンド1周の距離も短く、ランニングホームランになりやすいのです。私も大会で先頭打者ホームランを打ちましたが、ランニングホームランでした。
リードの有無が攻守双方の駆け引きの違いに

“ランナーのリードがない”
正直なところ、私がソフトボールの試合を通して1番違和感を覚えたのがこれです。
まずはランナーの立場から。
野球をやっている癖でついついリードしてしまいそうになることがありました。ソフトボールのルールでは、ピッチャーがボールをリリースする前に離塁すると、審判の指摘によりそのランナーはアウトになります。そのため、試合中に何度もチームメイトに「リードしちゃダメだよ!」と声をかけられました。また、ソフトボールにも盗塁がありますが、フライングの許される野球と違い、ランナーは単純に足の速さで勝負することになります。
野球ではしばしば“走塁の巧拙≠足の速さ”と言われます。いかに相手ピッチャーの癖を見抜くか、野手のスキを突くか。チームによってはピックオフの練習もするでしょう。もちろん、打球判断などのスキルは求められますが、力の絶対値で勝負する場面が多いのもソフトボールの特徴の一つであると思いました。
走塁について私が最も違いを感じたのは、意外にも守備の時でした。
私はセカンドを守っていましたが、ランナーケアをする必要がありません。つまり、ピッチャーのけん制が存在しないのです。野球では、ランナーが出るとピッチャーにとっても野手にとってもプレッシャーになります。しかし、リードのないソフトボールでは、ピッチャーは投球に、野手は守備に集中することができます。投球から野手のところに打球が飛んでくるまでの時間が野球よりも短いからなのでしょうか…?個人的にはランナーとの駆け引きがないことに少し物足りなさを感じたのは事実ですが、その分打球に集中することができました。
このように、ランナーに求められる技術や走塁における戦術のバリエーションについては野球の方が多いのかもしれません。
投球方法とボールの違いで打撃の感覚も大きく異なる

“ピッチャーの投球方法”
野球とソフトボールの違いを挙げるとしたら、これを最初に思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。私もソフトボールをするにあたって1番不安だったのが、果たして下から投げられる球に対応できるのかということでした。さらに、マウンドからホームベースまでの距離が短いため、球の体感速度が速いことも容易に想像することができました。
当初の予想通り、練習を始めたばかりの頃はソフトボール特有の投球方法であるウインドミルに対して思うようなバッティングができませんでした。左打ちである私はセカンドゴロの山を築いていました。しかし、慣れによるものなのか少しずつ改善することができました。
それよりも苦しんだのはボールの違いです。野球より数倍大きいソフトボールならバットに当たる確率は高いのではないかと考える方もいるでしょう。その通りです。しかし、バットに当たるということはミスショットも多くなるのです。ボールがどれだけ大きくなろうとも、球の中心は1点です。場面によってはミスショットをするよりも空振りをした方が良いことだってあるのです。

野球と同じ感覚でボールのやや下あたりを打つとフライになってしまいます。ソフトボールのどのあたりを叩けばうまく打球が飛ぶのか自分の体に刷り込む必要がありました。そこで私は、毎日のティーバッティングでソフトボールを捉える感覚を意識して練習を繰り返していました。
バッティングに関しては投球方法の違いによる打ちにくさがあったのはもちろんのことですが、ボールの違いによる打ちにくさの方が大きかったように思います。
野球とソフトボールは似ているけれど全く別のスポーツ!

いかがだったでしょうか。今回は3つの違いを取り上げましたが、他にもたくさんの異なる点がありました。リエントリー(再出場)、バッターボックスの形、バットやグラブのカラフルさなどなど…私が感じたのは、“やっぱり野球とソフトボールは似ているけれど全く別のスポーツ!”ということでした。野球をしている女の子に対してソフトボール転向を勧める方もいるかもしれません(その逆も然り)。しかし、外から見ているだけでは分からない違いがあるのも事実です。感覚的にはテニスと卓球くらい違います。進学を機に悩む女の子も大勢いるでしょう。私の書いた記事が少しでも参考になれば幸いです。
確かなことは、野球もソフトボールもとても楽しいスポーツです。それぞれの良さを見つけてプレーすることができれば素晴らしいと思いました。
最後まで読んでいただきありがとうございました!