女子野球選手100人アンケート2022 走塁部門1位 九州ハニーズ 小島 也弥

「女子野球選手100人アンケート2022」として、「直球」「コントロール」「変化球」「長打力」「バットコントロール」「走塁」「守備」「強肩」の計8部門で現役女子野球選手100人にアンケート調査を行いました。

各部門で1位を獲得した女子野球界トップレベルの9選手(強肩部門は同率で2名が1位)に今シーズンを振り返っていただきます

本記事では走塁部門で2年連続となる最多票を獲得した九州ハニーズ・小島也弥選手にお話を聞かせていただきました。

【小島也弥(こじまやや)】
1996年6月9日生まれ。島根県出身。

[経歴]
京都両洋高校
IPU環太平洋大学
エイジェック女子硬式野球部(2019-2021)
九州ハニーズ(2022-)

[日本代表歴]
2016年 第7回女子野球W杯
2018年 第8回女子野球W杯
2021年 第9回女子野球W杯(開催中止)
2022年 第3回女子野球アジア杯(最終候補/開催時期未定)

1年目のチームで全国大会準優勝 今シーズンの活動を振り返って

小石
まずは、走塁部門1位に選ばれた感想をお願いします。
小島選手
私自身も走力が1番の武器だと思っていて、プレーの中でも走塁を重視してやってきたので、みなさんからそういう評価をもらえていたことはすごく嬉しいです。
小石
小島さん自身、走塁はどのくらい極めていると感じていますか?
小島選手
そうですね... 私は『自信がない』ということもすごく怒られるのですが、「なんで今こんな判断をしたんだろう」「なんか今ふわっとしてたな」「もっと考えられたな」「もっとこう言う準備ができたな」と思うことは多いので、まだまだだなとは思っています
小石
どういった部分がまだだと感じていますか?
小島選手
同じチームの川端選手・楢岡選手の隙を突く走塁や、阪神の三浦選手の常に積極的な走塁を目標にしているので、そういった部分はもっと成長できるのかなと思います。
小石
九州ハニーズでの1年目となった今シーズン。環境の変化もあったとは思いますが、今年はどんな1年間でしたか?
小島選手
住んだことのない土地で初めて暮らしたり新しいことばかりでしたが、福岡で応援してくださる方がたくさんいることに気付きました。地元の島根の方々も私の決断を応援していただいたり、私個人としても応援してくださる方が多いなということを実感できる1年でした。
小石
1年目の活動を終えて、移籍の決断は良かったと感じていますか?
小島選手
はい、よかったですね。もちろん、エイジェックも素晴らしい環境でやらせてもらったのですが、「こういう人たちがいるから私たちは野球をしながら生活ができて、女子野球も注目してもらえるんだ」ということが直接的に実感できました。
小石
1年目ながらクラブ選手権準優勝など、全国大会で結果も残した九州ハニーズですが、チームとしてはどの様な1年でしたか?
小島選手
選手が13人と少ないながらも個性的なメンバーが多く、1人1人とコミュニケーションを取る機会も多くて楽しくできました。クラブ選手権では準優勝、西日本の子規杯でも優勝と、少ないメンバーながら充実した1年だったのかなと。
小石
1からチームを作ることはなかなかできない経験ですよね。
小島選手
そうですね。でも私は結構新しいチームでの経験は多いです。京都両洋高校では1期生、IPU環太平洋大学も2期生、エイジェックも2期生、そして九州ハニーズも1期生なので。1から新しいチームを作っていくことは大変なこともありますが、各地で周りの方から応援していただいて、すごく楽しい野球人生を送らせていただいているなと思います。

今年からウェイトトレーニングに取り組み、走塁の具体的な感覚を身に着ける

小石
環境面での変化は大きかったと思いますが、走塁や練習の面で去年までと何か変わったことはありましたか?
小島選手
宮地監督からのアドバイスもあり、今までやってこなかったウェイトトレーニングをやり始めました
小石
今まではあまりやってこなかったのですか?
小島選手
自分から積極的にはやっていなかったです。ウェイトは得意ではないですし、私は好きなことをついついやってしまうので(笑)自重のトレーニングをやっていれば十分だという浅はかな考えもありました。
小石
今年、ウェイトを取り入れたのはどういった意図があったのですか?
小島選手
スピードを単純に速くすることはもちろん、スタートやスライディングの時に“一瞬で力む”ことができるようにするためです。瞬発力を上げるためにウェイトを行い、それを今までやっていた自重トレーニングやジャンプトレーニングに繋げていくイメージで取り入れています。
小石
今年1年、その成果は感じていますか?
小島選手
そうですね。今まで、自分の状態を“ふわっとした浅い把握度”でしか分からなかったのが、今年は自分なりの具体的な感覚が分かるようになりました。
小石
というと?
小島選手
去年はアウトでもセーフでも、「今スタート悪かったかな?」ぐらいの感覚しか持てませんでしたが、今年は「今のは力んだスタートができたな」とか「今はスピードが緩めずにスライディングまでいけたな」とか「今日は全然動けていないな、力めていないな」という様な。
小石
なるほど。成功・失敗の原因が分かるようになってきたと。
小島選手
そうですね。「アップでこれをしなかったからかな」とか「今週一週間こういうことをやっていたからかな」と考えて、次のステップに進める様になりました。まだ完全に掴み切れてはいませんが、「あれかな?これかな?」という様に選択肢は出てくる様になったなと。
小石
来年以降、もっと走塁がレベルアップできそうですね。
小島選手
そうですね。トレーニングも今年ちゃんとやり始めたばかりなので、何が良くて、何が悪いかは今から考えていきます。今までやってこなかったことにチャレンジしながら自分に合ったトレーニングを見つけ、1番重要視している走塁に繋げていきたいです。

先輩から教わったことを下の世代に伝えられるように 中堅となった小島選手の女子野球界での役割

小石
女子野球全体を見ると、今年はどの様な1年でしたか?
小島選手
高校野球が東京ドームと甲子園で開催されたり、先日はイチローさんのチームと試合をしたりと、高校生が目指せる場所がたくさんできていて、凄いなと思います。
小石
確かに、高校生は今年本当に色々な経験ができていましたね。
小島選手
羨ましいなって(笑)イチローさんとの試合もすごかったですよね。あんな観客の中で試合ができることもなかなかないですよね
小石
そうですね。あの様な大舞台が用意されていると、今まで以上に頑張りたいという気持ちになれますよね。
小島選手
そうですね。今年はジャイアンツの女子チームもでき、NPBのチームが増えているので、高校生が目指す場所が東京ドームや甲子園、高校卒業後に目指す場所がNPBのチームや日本代表といったように、各カテゴリーで目指す場所が明確になってきていると感じます。そうするともっともっと野球をやりたい、続けたいと思う選手は増えるのかなと。
小石
小島選手自身も日本代表合宿に参加していましたが、やはり代表合宿での経験は選手としての成長にも繋がるものなのですか?
小島選手
もちろんです。今年の合宿ではライオンズの田中美羽選手(2023年よりジャイアンツ)と清水優花選手と「こういう時どうしてる?」「スタートの時はどこに力を入れている?」という様な走塁について情報交換もしました。
小石
先ほどは川端選手や楢岡選手、三浦選手など、先輩方から教わることが多いとの話でしたが、下の世代から学ぶことや情報を交換することもあるのですね。
小島選手
そうですね。私もだいぶ中堅になってきたので。下の世代から走塁やプレーについて聞かれることも増えてきたので、それによって私自身も考えるきっかけにもなります。今までは先輩に頼りきりで教えてもらってばかりだったので、次は伝えていく役割もしていきたいです。
小石
走塁の面で、後輩にこれだけは伝えたいということはありますか?
小島選手
体幹トレーニングを重視することですかね。私はウェイトトレーニングを今シーズン取り入れましたが、自重の体幹トレーニングはずっとやってきていて、これは走ること以外の全ての動きに重要なことだと思うので、絶対にやった方が良いと思います!!
小石
それでは最後に、来年に向けた意気込みをお願いします!!
小島選手
来年も九州ハニーズの1番バッターとして、しっかりと塁に出て、走塁で掻き乱して、全国優勝できるように頑張りたいと思います。1番打って、1番走って、1番ホームを踏む1番バッターになりたいです!!

昨年はエイジェックの主将としてチームを全国大会2冠に導き、今シーズンからは新規チーム九州はニーズの一員として新たなスタートを切った小島選手。九州ハニーズの1番打者として全国大会でチームを牽引する姿はもちろん、日本代表選手として後輩や下の世代の選手たちを導いていく姿にも注目です。

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