
皆さんこんにちは!岡田桃香です!
昨年10月の試合中に前十字靭帯を断裂し、人生初の長期入院と手術を経験しました。手術からおよそ9ヶ月のリハビリ期間を経て、ようやく大会に復帰することができました。

昨年の10月に怪我をした直後は「絶対に復帰してやる」という強い気持ちで入院や手術を終え、リハビリ生活に臨んでいきました。元々の性格がポジティブなこともあり、「この怪我も岡田桃香としての野球人生のストーリーのひとつ。この山を越えて復帰することで今までよりももっと上手くなってやろう。」と思い、コンディショニングやトレーニングを続けました。
しかし、思うようにプレーできない9ヶ月は予想以上に長く、リハビリ期間中は弱気になってしまい、何度も心が折れそうになっていました。野球のプレーと並行して行うトレーニングは上手くなっていく実感を得ることができますが、怪我からのリハビリとなるとそれができず、怪我が治っていく実感も本当に少しずつしか得ることができませんでした。
また、練習やトレーニングで『手加減をする』ということも難しいことでした。野球に限らずどのスポーツでもそうだと思うのですが、今までトレーニングでは「手加減するな」「限界まで追い込め」というように言われてきました。やりすぎてしまうと却って復帰時期が伸びてしまったり、再び怪我をしてしまったりするので、どこまでやっていいものか凄く難しかったです。「たったこれしかできなかった...」と自己嫌悪に陥ってしまうことも何度もありました。

そしてシーズンが始まりチームメイトたちが戦っている姿を見ると、悔しさやもどかしさが強くなっていきます。これはチームの勝敗に関わらず、自分自身が『勝ち負けに関わることができない』ということがとても悔しいことでした。
試合でみんなが活躍している姿を見たり、試合に勝つことができた時はもちろん嬉しいですが、その反面悔しい気持ちもありました。また、チームとしては今シーズンは合同チームとして各大会に挑みましたが、なかなか勝てない日が続き『どうやったら試合に出れなくてもチームに貢献できるのだろう』と考える日々でした。
キャプテンとしてチームメイトには何を伝えればいいのか。試合にでれていないのにどうやって説得力をもたせることができるのか。試合に出れていないキャプテンのことをみんなはどう思っているのか。考えても考えても答えは出ませんでした...
このようにメンタルがぶれることは幾度となくありましたが、最終的にはチームメイトの支えや周りの方々のおかげで自分のペースでリハビリを続けることができました。
試合に出れていなくても今まで通りチームの一員として、キャプテンとして接してくれたり、合同チームのメンバーや今年加入の新人選手は一度も一緒にプレーをしたことがないのに私のことを理解してくれていたと思います。

そしてついにリハビリ期間が終わり、実践へ復帰。今年から8月開催となり、チームとして一つの大きな目標でもあった全日本クラブ選手権へも出場することができました。久しぶりの試合は今までにないくらい緊張していました。それでも、その緊張を忘れるくらいチームのみんなとグラウンドに立てた嬉しさがありました。
クラブ選手権は東海NEXUS相手に4-0と完敗。個人としても3打数0安打と全く貢献することができませんでした。もちろん悔しい気持ちしかありませんでしたが、チームの勝敗に直接関わることができるという部分での野球の楽しさを改めて認識しました。
今シーズンの悔しさ、そして改めて感じた野球の楽しさを忘れずに、これからの野球人生を過ごしていきたいです。

今回の怪我を通して、キャプテンとしての考え方やプレー以外での貢献という部分で成長することができたと思います。試合に出られないことがわかっている中で、どうやってチームに貢献するか。言葉と行動しかないと思いました。なんて声をかけたら緊張をほぐせるか、背中を押すことができるのか、一人一人に声をかけることを心がけ、今まで以上にコミュニケーションをとりました。
また、怪我をして本当にいろいろな人に支えてもらい、人の優しさにも改めて気づきました。早く復帰できるように、良いプレーができるようにと親身になって支えてくれた主治医の先生やリハビリの先生、トレーナーさん。メンタル面で支えてくれた友達やチームメイトのみんなや会社の皆さん。そして両親。両親は復帰試合に遠くから駆けつけてくれました。みんなの暖かさが本当に嬉しかったし、支えになりました。
怪我をしてよかったとは思いませんが、この怪我を通して出会えた人たちもいて、怪我がなければ考えもしなかったことに気づくことができたことは、今後の野球人生に確実に生きることだと思います。
今回の怪我を経験した身として、怪我で苦しんでいる人に伝えられることがあるとしたら、『回り道をすることはそれほど悪くない』ということかなと思います。焦りは絶対にあると思います。しかし焦るよりも、じっくり時間をかけて今まで苦手だったことに挑戦してみたり自分を見直してみる方が良い結果が出ると思います。
「復帰して今まで以上に輝く」精神は忘れずに。そしてポジティブに。
怪我はいつ誰がするか分かりません。誰もが明日は我が身だと思い、セルフケアに取り組んで欲しいです。無理をしないこと、「休む勇気」も必要です。

全5回に渡って前十字靭帯断裂からの復帰の過程を紹介してきた本企画。今回の企画を通して、同じような怪我をしてしまったスポーツ選手、大きな怪我でリハビリ生活が必要となってしまった方に勇気を与えることができたらいいなと思います。また、多くのスポーツ選手たちの怪我予防への意識が高まり、私と同じような悔しい思いをする選手がいなくなることを願い、およそ1年に渡る連載の締めとさせていただきます。
最後までお読みいただきありがとうございました!!