女子野球選手100人アンケート2022 バットコントロール部門1位 阪神タイガースWomen 三浦 伊織

「女子野球選手100人アンケート2022」として、「直球」「コントロール」「変化球」「長打力」「バットコントロール」「走塁」「守備」「強肩」の計8部門で現役女子野球選手100人にアンケート調査を行いました。

各部門で1位を獲得した女子野球界トップレベルの9選手(強肩部門は同率で2名が1位)に今シーズンを振り返っていただきます

本記事ではバットコントロール部門で2年連続となる最多票を獲得した阪神タイガースWomen・三浦伊織選手にお話を聞かせていただきました。

【三浦伊織(みうらいおり)】
1992年3月11日生まれ。愛知県出身。

[経歴]
京都アストドリームス(2010-2012)
ウエスト・フローラ(2013-2014)
京都フローラ(2015-2020)
阪神タイガースWomen(2021-)

[日本代表歴]
2012年 第5回女子野球W杯
2014年 第6回女子野球W杯
2016年 第7回女子野球W杯
2018年 第8回女子野球W杯
2021年 第9回女子野球W杯(開催中止)
2022年 第3回女子野球アジア杯(最終候補/開催時期未定)

阪神タイガースWomenとして初の全国制覇 今シーズンを振り返って

小石
まずは、2年連続でバットコントロール部門1位に選ばれた感想をお願いします。
三浦選手
素直に嬉しいですね。バッティングが1番得意としているところなので、バットコントロールの評価をいただけたことは光栄です。
小石
2年連続でバットコントロール部門1位となりましたが、去年と今年でバッティングの変化などはありましたか?
三浦選手
特に変えた部分はないですね。強いて言うのなら、今年は『みんなを安心させる打撃をする』という思いを強く持っていました。ただクラブ選手権はみんなが打って勝つことができたので、逆にチームメイトが頼もしく見えたりもしました。
小石
個人の結果としてはいかがでしたか?
三浦選手
チャンスの場面で求められていることをより感じた中で、結果を残すことはできたのかなと。1番印象に残っているのは全日本選手権準決勝の神戸弘陵戦で、(9回裏1点ビハインドの)切羽詰まった場面で結果を残せたことです。あまり経験したことがないプレッシャーもありましたが、負けている中で自分の一打で同点にできたので、まだまだできるのかなと思いました。
小石
確かにあの一打は外から見ていても印象に残るヒットでした。それでは、チームとして今年はどんな1年でしたか?
三浦選手
クラブ選手権で優勝したり、チームとして嬉しい時間を過ごすことができました。去年のクラブ選手権は1回戦でライオンズに負けてしまい、悔しい思いが凄くありました。今年は「なんとか全国大会で優勝しよう」とチームで掲げてやってきたので、初タイトルを取れたことは凄く嬉しかったですね。
小石
やはりライオンズ戦の敗戦は悔しいものだった?
三浦選手
そうですね。同じクラブチームで、同じNPBのチームなので、色々と重なる部分はあります。初対決で注目されている中で勝ちたかったのですが、チームとしての実力不足を痛感しました。
小石
去年の敗戦から今年の全国制覇。チームとしてはどういったところが特に変わったと感じますか?
三浦選手
監督が「優勝する」ということを常々言ってくれていたので、それを一人一人が意識できていたのかなと。全国大会優勝に向かってやらなければいけないことをしっかりとできて、「チームのために」と思える選手がたくさん増えたことが良かったのかなと思います
小石
なるほど。普段からのチーム全体での意識や気持ちの部分が1番変わったということですね?
三浦選手
そうですね。個々のレベルや意識は昨年もある程度は持ち合わせいたと思うのですが、チーム力という部分が欠けていたんじゃないかと。そういった反省はチーム内でもありましたし、周りからも言っていただけることがあったので。今年はそこをみんなで変えようと意識しあってできたかなと思っています。

阪神タイガースWomenの活躍で、関西の女子野球の更なるレベルアップへ

小石
女子野球界全体を見ると、今年はどのような1年だったと感じていますか?
三浦選手
年々レベルが高くなっていることを実感しています。タイガースWomenは去年からの参加で、去年関西では圧倒的な力で勝てましたが、今年はラッキーリーグ・ラッキートーナメントでも結果を残せなかったので...先日の東西対抗戦でも関西選抜が関東選抜に3連勝したりと、関西のレベルが上がっているということは感じます。それが女子野球界全体のレベルアップにも繋がっているなと。
小石
関西と関東で対抗意識みたいなものはあるのですか?
三浦選手
そうですね...全国大会で勝っているのはエイジェックやライオンズなど、常に関東というイメージが強く、そこに勝つことを目指していたので、そういう意味では対抗心はあったのかなと。クラブ選手権では準決勝でライオンズ相手に勝てたので、みんな自信に繋がったのではないかなと思います。
小石
今までは女子野球は関東の方が強いというイメージがありましたが...
三浦選手
今まではやっぱり女子野球は関東が強いみたいなイメージがあり、「関東に選手が多いから関東に行きたい」「関東の大学に進学したい」という話をよく聞いていました。
小石
今年はそのイメージも大きく変わった1年だったのではないでしょうか?
三浦選手
最近は関西のチームが活躍したり、練習試合をしていても関西の高校生は強いので、関西も頑張っているなとすごく感じます。関西で頑張っている高校生が「タイガースWomenに入りたい」と思えるチームを作っていくことが関西のレベルをあげることにも繋がると思うので、私たちはそこを目指して頑張りたいです。
小石
阪神タイガースWomenが関西の女子野球界を牽引していく存在になりたいと。
三浦選手
あくまで結果的に、ですけどね。牽引できる立場ではないですし、自分たちができることはまだ少ないとも思ってます。でも自分たちが輝くことで女子野球人口やレベルがあがっていったら嬉しいです。日本全国でそういった流れの中で女子野球が拡がっていくことが大事だと思うので、他チームには対抗意識を持ちながら、協力もしてやっていきたいですね。

「現在の女子野球の環境を作り上げてきた先輩の思いを継承していく」

小石
来シーズン、チームとしてはどの様な戦いを目指していきますか?
三浦選手
今年は全日本選手権で優勝することができなかったので、二冠を達成するということが来年の目標です。来年はジャイアンツも参加したりして、さらに注目度も上がると思うので、その中で勝つことはより意味があると思っています。
小石
今年のクラブ選手権覇者ということで、阪神TWも追われる立場となりますが...
三浦選手
いやー、まだ優勝1回しかしていないので(笑)たしかに今年の優勝はチームで勇気を持てましたが、自信を持てるまではいってないです。来年も挑戦者の気持ちで2大会とも勝ち上がれる力をつけていきたいです。
小石
三浦さん個人としては来シーズンはどんなシーズンにしたいですか?
三浦選手
年下の選手が多くなっているので、彼女たちに今までの経験をしっかり伝えていきたいです。私が20歳位の時、先輩方に色々と教えてもらったことを還元できるように。先輩たちが女子野球を引っ張ってきてくれたからこそ女子野球の環境はどんどんよくなってきていると思うので、今後の女子野球選手のために私たちもしっかりとやっていきたいなと感じています。
小石
下の選手たちには特にどういったことを伝えていきたいですか?
三浦選手
今までやってきた上の先輩たちと話していると、NPBのユニフォームを着れることや、甲子園で試合ができることなど、今の環境をすごく羨ましがっているんですよね。今の女子野球選手たちがこの環境でできているのは先輩たちが頑張ってきたからだと思うので、その先輩たちの思いも背負ってしっかりとプレーをして欲しいです。そしてその思いを継承していくことで、女子野球はどんどん良くなっていくと思います。
小石
最後に来シーズンの意気込みをお願いします!!
三浦選手
来年は全国大会で勝つことはもちろん、関西でもしっかりと勝ちきりたいです。個人的にはバッティングでチームをどんどん引っ張っていけるように、しっかりと練習にも取り組んで更に磨きをかけていきたいと思います。

『女子野球選手100人アンケート』バットコントロール部門で2年連続の1位となった三浦選手は、今シーズンも勝負どころで確実に打点を稼ぐ鮮やかなバットコントロールで阪神タイガースWomenを全国優勝に導きました。

「タイガースWomenを高校生たちが目指す場所にしていくことで女子野球の更なる発展に貢献したい」と話す三浦選手。選手・主将としてチームを優勝に導くことはもちろん、女子野球界を更に良い世界に変えていく様な活躍にも期待です。

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