
昨年に引き続き甲子園で決勝戦が開催され、横浜隼人高校の優勝で幕を閉じた第26回全国高等学校女子硬式野球選手権大会。決勝戦の延長10回タイブレークや準決勝2試合の延長戦、1回戦以外の全試合を逆転勝利で優勝まで勝ち上がった横浜隼人など、記憶に残る大会となった今大会を『記録』で振り返ります。

第四弾はチーム投手記録編。準決勝進出の4チームを対象とし、各チームがどの様な戦いをしてきたのかを数値の面から分析していきます。
※本記事上の記録はmegaphone独自の集計です。
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学年別投球回
チーム名 | 3年 | 割合 | 2年 | 割合 | 1年 | 割合 |
横浜隼人 | 47 | 100% | 0 | 0% | 0 | 0% |
開志学園 | 7 | 18% | 31 | 82% | 0 | 0% |
岐阜第一 | 0 | 0% | 9 | 32% | 19 | 68% |
京都両洋 | 24 | 89% | 3 | 11% | 0 | 0% |
こちらは4チームの学年別の投球回数。横浜隼人は全47イニングを3年生が投球、京都両洋も27イニング中24イニングを3年生が投球しているのに対し、開志学園・岐阜第一は下級生が主戦投手として夏の大会を戦っています。学年で見ると4チームの戦い方は二分される結果に。次項からは成績を細かく見ていきます。
チーム投手記録
チーム名 | 試合 | 回数 | 打者 | 安打 | 奪三振 | 失点 | 自責 | 四球 | 死球 |
横浜隼人 | 6 | 47 | 187 | 40 | 11 | 14 | 13 | 4 | 3 |
開志学園 | 5 | 38 | 158 | 35 | 28 | 8 | 6 | 9 | 3 |
岐阜第一 | 5 | 28 | 113 | 18 | 16 | 6 | 6 | 9 | 3 |
京都両洋 | 4 | 27 | 101 | 14 | 12 | 2 | 1 | 4 | 1 |
基本的な成績がこちら。まず、目につくのが京都両洋の自責点1という結果。準決勝で敗れたものの、4試合27イニングを戦い、自責点が1という成績は他3チームと比較しても大きく離れています。続いて、開志学園の奪三振数。38イニングで28奪三振と他3チームの成績と比較して突出しています。一方で、三振は少ないながらも四球の少なさが目立つのが横浜隼人高校。1回戦から計47イニングで与四球はわずか4。夏の長丁場を打たせて取るピッチングで戦い抜いたことが分かります。
チーム投手各指標
チーム名 | 防御率 | WHIP | K/7 | BB/7 | K/BB |
横浜隼人 | 1.94 | 0.94 | 1.64 | 0.60 | 2.75 |
開志学園 | 1.11 | 1.16 | 5.16 | 1.66 | 3.11 |
岐阜第一 | 1.50 | 0.96 | 4.00 | 2.25 | 1.78 |
京都両洋 | 0.26 | 0.67 | 3.11 | 1.04 | 3.00 |
上記データから算出した各指標がこちら。4チームの防御率が1点台よりも優秀という結果に。自責点1という成績を残した京都両洋はチーム防御率0.26、WHIP0.67という圧倒的な結果になりました。また前項でも触れた通り、奪三振が多かった開志学園はK/7が、四球が少なかった横浜隼人はBB/7がそれぞれ優秀という結果に。ところが、三振と四球の比率を表すK/BBを見ると両チームともおよそ3.00と近い数値になっています。同じ様なK/BBでも奪三振の多さに優れた開志学園と四球の少なさに優れた横浜隼人、決勝進出の2チームで両極端な成績となりました。
チーム投手記録編、いかがでしたでしょうか?
個人の成績や試合結果からも高校女子野球の投手力の高さは分かりますが、準決勝進出の4チームの成績から見てもそのレベルの高さは分かります。また、3年生主体で戦った横浜隼人と京都両洋に対して、開志学園・岐阜第一は下級生中心で戦っており、秋のユース大会や来年以降に更なる躍進が期待されます。
全4編で高校女子野球の『記録』を振り返った本企画。プロ野球や男子高校野球と比較するとまだまだデータが語られることが少ないですが、今回のような簡単なデータを集計しただけでも新たに気づくこともありました。
甲子園での延長10回タイブレークで盛り上がりを見せた高校女子野球。8月末には秋のユース大会も始まり、新チームでの熱戦が繰り広げられます。高校生たちの新たな戦いに目が離せません!!