
昨年に引き続き甲子園で決勝戦が開催され、横浜隼人高校の優勝で幕を閉じた第26回全国高等学校女子硬式野球選手権大会。決勝戦の延長10回タイブレークや準決勝2試合の延長戦、1回戦以外の全試合を逆転勝利で優勝まで勝ち上がった横浜隼人など、記憶に残る大会となった今大会を『記録』で振り返ります。

第一弾は投手成績編。本記事では、最多勝・最優秀防御率・WHIP・K/7・BB/7・K/BBの投手6部門を集計しました。
準決勝進出の4チームを対象とし、10イニング以上投球している投手を対象としました。
※本記事上の記録はmegaphone独自の集計です。
最多勝
順位 | 選手名 | 所属チーム | 学年 | 登板 | 勝利 |
1 | 五十嵐 千紘 | 横浜隼人 | 3年 | 4 | 4 |
2 | 水口 樹乃 | 開志学園 | 2年 | 3 | 2 |
2 | 漢人 茉彩 | 京都両洋 | 3年 | 3 | 2 |
2 | 本橋 未菜 | 横浜隼人 | 3年 | 4 | 2 |
※先発・救援の区別無くチームが最終的な勝ち越し点を挙げた当時に投球していた投手を勝利投手とする方法を採用しています(NPBオープン戦・オールスターゲームと同様の方法)。
最多勝は横浜隼人の五十嵐千紘投手。五十嵐投手は救援での登板機会も2回あり、どちらも逆転勝利に繋がるピッチングでチームの優勝に貢献しています。全6試合中5試合を逆転勝利で優勝した横浜隼人の戦いを象徴するような結果となりました。
最優秀防御率
順位 | 選手名 | 所属チーム | 学年 | 回数 | 自責 | 防御率 |
1 | 水口 樹乃 | 開志学園 | 2年 | 18 | 0 | 0.00 |
1 | 漢人 茉彩 | 京都両洋 | 3年 | 12 | 0 | 0.00 |
3 | 渡邉 未来 | 京都両洋 | 3年 | 12 | 1 | 0.58 |
4 | 桒澤 明里 | 岐阜第一 | 1年 | 19 | 4 | 1.47 |
5 | 本橋 未菜 | 横浜隼人 | 3年 | 27 | 6 | 1.56 |
防御率は開志学園の水口樹乃投手、京都両洋の漢人茉彩投手が0.00で同率の1位に。5投手が1点台までに収めており、決勝戦の延長10回に及ぶ戦いや準決勝2試合が延長8回までもつれたことが頷ける成績となりました。
WHIP
順位 | 選手名 | 所属チーム | 学年 | 防御率 | WHIP |
1 | 渡邉 未来 | 京都両洋 | 3年 | 0.58 | 0.42 |
2 | 水口 樹乃 | 開志学園 | 2年 | 0.00 | 0.50 |
3 | 漢人 茉彩 | 京都両洋 | 3年 | 0.00 | 0.75 |
4 | 本橋 未菜 | 横浜隼人 | 3年 | 1.56 | 0.89 |
5 | 五十嵐 千紘 | 横浜隼人 | 3年 | 2.58 | 1.00 |
1イニングあたりに出したランナーを表すWHIPは京都両洋のエース・渡邉未来が0.42で1位に。1.0を下回ると非常に優秀とされているこの指標で今大会は5投手が1以下の成績を収めています。
選手名 | 年度 | WHIP |
ダルビッシュ 有 | 2011 | 0.83 |
山本 由伸 | 2021 | 0.85 |
菅野 智之 | 2017 | 0.85 |
大野 雄大 | 2020 | 0.87 |
田中 将大 | 2011 | 0.87 |
K/7
順位 | 選手名 | 所属チーム | 学年 | 回数 | 奪三振 | K/7 |
1 | 水口 樹乃 | 開志学園 | 2年 | 18 | 19 | 7.39 |
2 | 桒澤 明里 | 岐阜第一 | 1年 | 19 | 13 | 4.79 |
3 | 漢人 茉彩 | 京都両洋 | 3年 | 12 | 7 | 4.08 |
4 | 小西 咲里 | 開志学園 | 2年 | 13 | 5 | 2.69 |
一試合(7イニング)あたりにいくつの三振を奪えるかを表すK/7は、2位以下に大差をつけた開志学園の水口投手が1位に。7.39という数字は単純計算で毎イニング1つ以上の三振を奪う計算。比較的三振の少ない女子野球界において、この成績は驚異的な記録です。
BB/7
順位 | 選手名 | 所属チーム | 学年 | 回数 | 四球 | BB/7 |
1 | 本橋 未菜 | 横浜隼人 | 3年 | 27 | 2 | 0.52 |
2 | 小西 咲里 | 開志学園 | 2年 | 13 | 1 | 0.54 |
3 | 渡邉 未来 | 京都両洋 | 3年 | 12 | 1 | 0.58 |
4 | 五十嵐 千紘 | 横浜隼人 | 3年 | 19 | 2 | 0.74 |
一試合(7イニング)あたりにいくつの四球を与えるかを表すBB/7、1位は優勝の横浜隼人のエース・本橋未菜投手。BB/7は合計4投手が1を下回るという結果に。この4投手は完投しても1つの四球を出すか出さないかという成績です。投手戦になることが多く、防御率やWHIPで優秀な成績を収める投手が多かった要因はこの数値にあるのではないでしょうか。
K/BB
順位 | 選手名 | 所属チーム | 学年 | K/7 | BB/7 | K/BB |
1 | 水口 樹乃 | 開志学園 | 2年 | 7.39 | 1.17 | 6.33 |
2 | 小西 咲里 | 開志学園 | 2年 | 2.69 | 0.54 | 5.00 |
3 | 漢人 茉彩 | 京都両洋 | 3年 | 4.08 | 1.17 | 3.50 |
4 | 本橋 未菜 | 横浜隼人 | 3年 | 1.56 | 0.52 | 3.00 |
5 | 渡邉 未来 | 京都両洋 | 3年 | 1.75 | 0.58 | 3.00 |
三振と四球の比率を表すK/BBは開志学園の2投手が3位以下を突き放す好成績を収めています。三振と四球は野手の影響を受けないプレーのため、純粋に投手の能力を測ることができます。開志学園の両投手は共に2年生。左右2枚の好投手を擁する開志学園は秋のユース大会以降も上位の成績を収めていくことが予想されます。
投手ランキング、いかがでしたでしょうか?
決勝・準決勝の延長戦を筆頭に投手戦が多く、感覚的にも投手の活躍が印象に残った大会でしたが、数値化することで改めて各チームの投手力の高さを認識することとなりました。
次回は打者成績を紹介していきます。お楽しみに!!