【関西編】2022年の女子野球を振り返って 〜東近江バイオレッツ監督・中村茜〜

東近江バイオレッツ監督 中村茜

ーー今年の関西の女子野球はどんな1年でしたか?

私自身が女子プロ野球以外で指揮を取るのが初めての経験で、今年は挑戦の1年にしようと思っていたので、全てが新しい発見で、今まで体験できなかった世界も見れて、個人的には凄く充実した1年だったと思います。改めて、もっと女子野球の発展に貢献したいと思えました。

実際に1年間活動した中では「こんなにも野球を楽しくやっている選手が全国にはたくさんいるんだ」ということ、私が女子プロ野球で現役選手だった頃と比べてレベルが上がっていることを感じました。今はどのカテゴリーであっても対等に戦えて、どこが勝ってもおかしくないような状況になってきています。このような高いレベル、素晴らしい環境で野球ができている選手たちは楽しいだろうなと思います。

ーー東近江バイオレッツの監督として全国大会を戦っていく中で、関西と他の地方のチームとで差を感じる部分はありましたか?

社会人の女子硬式野球は関東の方が強いという時代が長く続いていましたが、私自身は1年目ということもあり、そういうイメージは持っていません。今年は阪神タイガースWomenが全国優勝をしたり、関西のチームもしっかりと全国レベルで戦えていたと感じています。ただクラブ選手権などでは、細かい野球やスピードの部分で「今の野球じゃいけないな」とも思いました。

クラブ選手権で1番感じた部分としては『関東の方が投手力が高い』ということです。関西のチームにはあまり速球派の投手がいないので、速い直球とキレのある変化球で攻められるとなかなか厳しいのかなとは感じました。チームとしてもそういったところでクラブ選手権はせめきることができなかったと考えています。打撃や守備力の差はないと思っているのですが、投手力には差があるかなとは感じました。

ーー先日の東西対抗戦では関西選抜が3連勝でしたが、選抜の監督としてはどのようなことを感じましたか?

お祭りみたいな雰囲気でやったらという意見もあったのですが、やるからには真剣にやりたい、3勝したいという思いがありました。その中で勝つことができたので、真剣にやるからこその楽しさが味わえました。

“選抜”という形ではあるので、選ばれた選手は緊張してしまうということは私自身の経験からも分かっていたので、監督としては「野球を楽しむ」ということに徹した2日間でした。試合の結果も良かったので、楽しむことの大切さを改めて認識しました。

ーー今後、関西地方の女子野球はどういった方向に進んでいくべきだと考えていますか?

今年1年を戦ってみて、試合数はもう少し増やしてあげたいとは感じました。今年はリーグ戦を6チームで5試合のみを行いましたが、例えば前期後期で同じチームと2試合というように、チーム数が少ない中でも工夫できることはあると思います。試合が増えれば、選手のモチベーションも上がると感じています。

チームとしては日本一を目指してやっていく中で、私自身が今まで経験してきたことを選手に伝えていきたいです。そして、選手が来年のオフシーズンに「もう一年野球をやりたい」と言ってくれるように、野球の楽しさも伝えていきたいです。

来年からはアジア杯やW杯の開催もできそうなので、日本の野球を世界に伝えていくチャンスだと思います。国内だけではなくて、世界でも戦っていけるように、関西地方でももっとレベルアップしていきたいです。女子野球がもっともっと色々な人の目に止まれば、女子野球の明るい未来が見えてくると思うので、そういったところにも注目してやっていきたいです。

〈インタビュアー:megaphone編集長・小石涼〉

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