
昨年は高校選手権大会の決勝戦が行われるなど、“歴史的な1年”となった女子野球。2022年シーズンも新たな取り組みはありましたが、“昨年までの取り組みが順調にステップアップした1年”という印象を受けました。
まず高校女子野球に目を向けると、昨年から夏の決勝戦が甲子園で開催されるようになったことに加え、今年は春は東京ドーム、秋はナゴヤ球場と各大会の決勝戦が大きな球場で行われるようになりました。また、高校選抜とイチロー氏率いるKOBE CHIBENとの一戦も昨年は無観客で行われていたのに対して今年は東京ドームで開催され、松坂大輔氏も参加。およそ16,000人の大観衆が押し寄せた中で試合が行われ、大きな注目を集めることとなりました。
盛り上がりを見せる一方で、2022年シーズンもコロナの影響はまだまだ大きく、春の選抜大会では横浜隼人高校、夏の選手権大会では神戸弘陵学園高校が棄権するなど、優勝候補にあげられながらも最後まで戦いきれない高校もありました。しかしその後、横浜隼人は夏の大会で優勝、神戸弘陵は秋のユース大会では優勝、10月の全日本選手権では準優勝と悔しさを晴らすような戦いを見せました。今シーズン、悔しい思いをしたチームは他にもありますが、その悔しさを糧に来シーズン飛躍の年となることが期待されます。

そして全国各地に目を向けると、今季からは東北・中四国・九州で新たにリーグ戦が開始。すでにリーグ戦を行っていた北海道・関東・中部・関西と合わせて全国で7つのリーグが行われることとなりました。
女子硬式野球界全体としては、昨年まで8月に開催されていた全日本選手権が10月開催となったことにより、各カテゴリーの全国大会を勝ち抜いたチームが参加する大会へと生まれ変わりました。大会はエイジェックが2連覇を達成。昨年の優勝から大きくメンバーが入れ替わった中で、選手個々のレベルアップはもちろん、チーム力・組織力の高さを感じる大会でした。また、準決勝では阪神タイガースWomenと延長11回を戦い勝利した神戸弘陵学園高校の躍進も多くの女子野球ファンの印象に残りました。

また、コロナの影響で2019年の第2回アジアカップ以降は開催されていなかった国際大会に向けた活動も今季から再開。8月に代表選考合宿が行われ、最終候補27選手が決定。10月には女子野球タウン・三次市で強化合宿が行われ、来年5月に香港で行われるアジア杯に向けて準備が進んでいます。来年以降の国際大会は以下の通りです。
【女子野球国際大会予定】
2023年5月 アジア杯(香港)
2023年8月 W杯1次R
2024年夏 W杯決勝R
前回大会まで日本代表はU-18で参加していたアジア杯も来年からはトップチームでの参加が発表されており、クラブチームで活躍している選手たちにも“日本代表”という明確な目標ができた形になりました。
また、今年は『大学選抜強化プログラム2022』として、大学選抜も甲子園で試合が開催。これにより、高校生は高校選抜(vsイチロー)、大学生は大学選抜(甲子園)、社会人は日本代表(国際大会)と各カテゴリーで目指す場所ができました。高校選抜や大学選抜は来年以降も行われることが確定しているわけではありませんが、女子選手たちが目指す場所として、毎年恒例のイベントとなっていくことを望みます。
