次は私たちの番!ブームに乗って東北でも女子野球の「波」来たる 〜2021年の女子野球を振り返って「東北編」〜
弘前学院聖愛「女子野球交流会」の様子(筆者撮影)

歴史的な2021年

 2021年は女子野球界において大きな転換期を迎えた。その象徴が全国高校女子硬式野球選手権決勝が甲子園で行われたことだろう。また、阪神タイガースWomenが誕生したことにより、全日本女子硬式野球クラブ選手権では埼玉西武ライオンズレディースとの対戦が実現した。

 プレーする選手にとって新しい目標ができたこと、女子野球ファンにとっては注目するチームが増えたこと、女子野球界全体ではメディアに試合を様子を取り上げられる機会が増えたこと。これらはスポーツの関わり方である「する」「みる」「ささえる」の3分野それぞれで女子野球界に良い影響を与えている。

現在でも女子プロ野球を経験した選手や各地域で活動する選手やチーム、彼女らを支える多くの方々の尽力もあり、競技人口は2万人を超え、今や「女子野球ブーム」が起こっている。この流れを永続的に保ちつつ、さらなる発展を目指していきたい。

東北地方でも女子野球環境整備

 今夏の甲子園決勝戦が終わった後も女子野球界全体の動きは活発だ。各地で女子野球大会の開催をはじめ、試合のライブ配信、新たな女子野球タウンや女子野球連盟の誕生と全国的な拡がりを見せている。

 現在、筆者が住む青森県の弘前学院聖愛高校では2022年4月から女子硬式野球部の創部が発表された。同校の男子硬式野球部は今夏、甲子園に出場した。また、以前から県内の野球振興のために野球教室も開催している。この取り組みの中で過去に女子選手も参加していたものの、彼女らが県内でプレーする環境がないことからその機会をつくろうと1番最初に手を挙げた。

 弘前学院聖愛では11月28日に小中学生を対象にした「女子野球交流会」を開催し、60人を超える選手が集まった。今後はさらに交流会の機会を増やしながら来夏の大会出場を目指す。

弘前学院聖愛「女子野球交流会」に参加する女子選手たち(筆者撮影)

 こうした東北地方での女子野球の拡がりは青森県だけに留まらない。2022年は弘前学院聖愛だけではなく、山形県・山本学園(※来年から惺山高に校名変更)や福島県・学法石川が女子硬式野球部を創部する予定となっている。既に活動している岩手県の花巻東と盛岡誠桜、宮城県のクラーク記念国際と併せて東北地方には6つの女子硬式野球部があり、残る秋田県からの女子硬式野球部誕生が待たれる。

 選手が東北地方でプレーするには小中学生まで男子と一緒、もしくは女子軟式チームに所属するかの選択肢はあるが、高校生以降は県外に出るかソフトボールに転向する選手がほとんどでまだまだ受け皿が少ない状態が続く。

 こうした高校での女子硬式野球部創部ラッシュに続き、今後は大学やクラブチームとさらなる先でのプレーできる環境をつくる。そして、ゆくゆくは東北リーグの開始や女子野球タウン認定市町村の誕生と東北全体が一体となって新しい女子野球文化を形成していくことになるだろう。さぁ、東北でも拡がれ女子野球!

弘前学院聖愛「女子野球交流会」の様子(筆者撮影)
弘前学院聖愛「女子野球交流会」の様子(筆者撮影)
弘前学院聖愛「女子野球交流会」の様子(筆者撮影)
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