〜2021年の女子野球を振り返って「関東編」〜

2021年の女子野球界を振り返って「関東編」は、megaphone編集長・小石が担当します。

高校女子野球全国大会の決勝戦が甲子園で行われ、大きな話題を集めた2021年の女子野球。優勝の神戸弘陵、準優勝の高知中央を初め、ベスト8の内7チームが西日本の高校という結果でした(関東勢は横浜隼人のみ)。およそ5-6年ほど前までは関東の名門女子野球部が上位を独占していましたが、今季の結果を見ると、単純な高校数だけではなく“レベルの高い女子野球”が全国に拡がっていることが窺えます。

一方、女子社会人野球は栃木県のエイジェックが全日本選手権・クラブ選手権と2つの全国大会を制覇。さらにはヴィーナスリーグのプレミア7、年間女王決定トーナメントも制し“年間4冠”を達成。

クラブ選手権を制したエイジェック

エイジェック広橋監督はクラブ選手権での取材時、「目指すところは連覇です。選手たちには、これから連覇するのが大変だよと。歴史が今始まったんだということを伝えました。」と話していました。

圧倒的な強さや選手層の厚さを誇るエイジェックですが、全国大会は2大会とも今季が初優勝。広橋監督は今季で退団となりましたが、小林茂生新監督の下、新たな女子野球の歴史が作られていくことに期待です。

胴上げされるエイジェック・広橋監督

12月にはジャイアンツが2023年からの公式戦参加を目指し、女子チームを創設することを発表しました。NPBの名を持つ女子チームは埼玉西武ライオンズ・レディース、阪神タイガースWomenに続き3球団目。

今季のクラブ選手権では西武対阪神のNPB対決が実現したことで話題にもなりました。尚美学園大学の監督として長年女子野球界に携わってきた西武・新谷監督はこの試合後、「歴史的な一戦まで辿り着けたことが嬉しいです。プロ野球のユニフォームを着て女子野球が対戦することは、僕が女子野球界に関わり始めた時は、夢の先のまだまだ考えもしないことだったので、16-17年やって、やっと辿り着いたなと感慨深いものがありました。もちろんこの先もまだまだあるのですが、まずは第一歩に辿り着けたなと思います。」と話していました。

クラブ選手権・阪神戦で完投勝利を収めた清水美佑投手(埼玉西武LL)

関東に拠点を置くNPB球団は5球団(鎌ヶ谷に2軍施設を持つ日本ハムファイターズを含めると6球団)。ジャイアンツの女子野球参入に続くチームが現れ、NPB女子チームが複数参加するリーグ戦が開催されればさらなる注目を集めることとなるでしょう。

女子野球は魅力的ではあるものの、実際に観戦する機会や注目し始めるきっかけが少ないように感じます。現在のNPBファンも応援しているチームが女子チームを創設すれば、それをきっかけに女子野球にも注目すると思います。最初のきっかけさえあれば、女子野球ならではの楽しみ方や魅力に気づくファンも一定数はいるのではないでしょうか。

全国に拡がる女子野球ですが、トップレベルのチームが集まるのは関東であると思います。“歴史が始まった”エイジェック、NPB女子チームのパイオニアである西武LL、遂に動き出したジャイアンツなど、関東の女子野球は来年以降も目が離せません。

ジャイアンツ入団を決めた金満梨々那選手(平成国際大学)
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