第18回伊予銀行杯全国女子硬式野球選手権大会『チーム投手成績』

今年から開催時期を10月に変更し、高校・大学・クラブ各カテゴリーの全国大会で優秀な成績を残したチームの参加となった全日本選手権。名実ともに『女子硬式野球日本一』を決める大会となった今大会は決勝戦でのタイブレークを制したエイジェックが大会連覇の偉業を成し遂げ幕を閉じました。

試合終盤での逆転劇やタイブレークにもつれる激戦など、手に汗握る好ゲームが多かった今大会を記録で振り返っていきます

第四弾はチーム投手記録編。準々決勝に進出した8チームを対象とし、各チームがどの様な戦いをしてきたのかを数値の面から分析していきます。

※本記事上の記録はmegaphone独自の集計です。

チーム投手記録

チーム名試合回数打者安打奪三振失点自責四球死球
エイジェック優勝53514129249981
神戸弘陵学園高校準優勝5411623013139135
埼玉西武LL3位42510418185563
阪神TW3位3238412104171
履正社高校ベスト8321931991313100
ゴールドジムベスト83208616108834
東海NEXUSベスト8318781984470
九州ハニーズベスト8214551042260

まずは基本的な投手記録から。失点・自責点の項目で優勝のエイジェックと準優勝の神戸弘陵を比較すると、タイブレークを3試合戦った神戸弘陵が失点こそ多いものの、自責点は共に9点という結果に。もちろん単純比較では語れない部分はありますが、この成績から見る“投手力”という面では互角の戦いをしていたことが分かります

準決勝で神戸弘陵との激戦に敗れた阪神TWはタイブレークでの失点を除くと3試合で1失点と、クラブ選手権に引き続き高い投手力を誇っていました。

1試合あたりの投手記録

チーム名結果試合回数打者安打奪三振失点自責四球死球
エイジェック優勝57.028.25.84.81.81.81.60.2
神戸弘陵学園高校準優勝58.232.46.02.62.61.82.61.0
埼玉西武LL3位46.326.04.54.51.31.31.50.8
阪神TW3位37.728.04.03.31.30.32.30.3
履正社高校ベスト837.031.06.33.04.34.33.30.0
ゴールドジムベスト836.728.75.33.32.72.71.01.3
東海NEXUSベスト836.026.06.32.71.31.32.30.0
九州ハニーズベスト827.027.55.02.01.01.03.00.0

各チームの1試合あたりの記録がこちら。前項でも言及した通り、阪神TWの自責点は1試合あたり0.3点と群を抜いて優秀な結果に。クラブ選手権から26イニング連続無失点の石村奈々投手を始め、日本トップレベルの投手陣が揃う阪神TWから点を取ることは非常に難しいことだと分かります

投手能力を測る上で重要な項目となる奪三振はエイジェックと埼玉西武LLがそれぞれ1試合あたり4.8、4.5個と他6チームとは一線を画す結果に。点を取られないこと以上に『凄い投手が多い』という印象のこの2チーム。その印象を決定づけているものは奪三振能力の高さかもしれません。両チームは今季のヴィーナスリーグでは1位・2位で、失点数も他チームと比べて極端に少ない結果を残しています。

チーム投手各指標

チーム名試合回数防御率WHIPK/7BB/7K/BB
エイジェック優勝5351.801.064.801.603.00
神戸弘陵学園高校準優勝5411.541.052.222.221.00
埼玉西武LL3位4251.400.965.041.683.00
阪神TW3位3230.300.833.042.131.43
履正社高校ベスト83214.331.383.003.330.90
ゴールドジムベスト83202.800.953.501.053.33
東海NEXUSベスト83181.561.443.112.721.14
九州ハニーズベスト82141.001.142.003.000.67

続いて、各チームの防御率・WHIP・K/7・BB/7・K/BBがこちら。7イニングあたりの三振数を表すK/7は前述の通りエイジェックと埼玉西武LLが優秀な成績を残した一方で、三振と与四球の比率を表すK/BBはその両チームをゴールドジムが上回る結果に。ゴールドジムはサイドスローの玉城彩音投手とジャイアンツ女子の島野愛友利の2投手で3試合を戦い与四球は3つのみ。安定した投球でチームの全日本選手権初勝利・ベスト8進出の原動力となっています。

防御率や1イニングあたりに許したランナーを表すWHIPは阪神TWが他チームに大差をつけて1位に。このデータからも阪神TWの投手力の高さが際立ちます。

チーム投手記録編、いかがでしたでしょうか?

対戦相手や試合数も全く異なるトーナメントでの成績なので、あくまでも参考程度にはなりますが、好成績を残すチームの特色や傾向が少しだけ見えてきます。

全4編で全日本選手権の『記録』を振り返った本企画。まだまだ『女子野球を語る』に値するだけのデータ量や精密な集計ができているわけではありませんが、このようなデータを蓄積していくことで、来年以降や2年後3年後に試合観戦をする際により楽しむことができると考えています。megaphoneでは引き続き、女子野球の成績や記録をまとめていきたいと思います。

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