第18回伊予銀行杯全国女子硬式野球選手権大会『個人投手成績』

今年から開催時期を10月に変更し、高校・大学・クラブ各カテゴリーの全国大会で優秀な成績を残したチームの参加となった全日本選手権。名実ともに『女子硬式野球日本一』を決める大会となった今大会は決勝戦でのタイブレークを制したエイジェックが大会連覇の偉業を成し遂げ幕を閉じました。

試合終盤での逆転劇やタイブレークにもつれる激戦など、手に汗握る好ゲームが多かった今大会を記録で振り返っていきます

第二弾は投手成績編。本記事では、最多勝・最優秀防御率・WHIP・K/7・BB/7・K/BBの投手6部門を集計しました。

準決勝進出の4チームを対象とし、規定投球回は9イニングと設定しました。(勝利数のみ全投手を対象としています。)

※本記事上の記録はmegaphone独自の集計です。

最多勝:年上の選手たちを相手に2完投と好リリーフで3勝をあげる

選手名所属チーム登板勝利
1日髙 結衣神戸弘陵学園33
2小松 圭保エイジェック32
2玉城 彩音ゴールドジム32
2大向 真央履正社高校32

※先発・救援の区別無くチームが最終的な勝ち越し点を挙げた当時に投球していた投手を勝利投手とする方法を採用しています(NPBオープン戦・オールスターゲームと同様の方法)。

最多勝は3勝をあげた神戸弘陵学園高校・日髙結衣投手。日髙投手は初戦で完投勝利、2回戦ではリリーフで逆転勝利を導くと、準決勝の阪神TW戦ではタイブレーク4イニングを含む11イニングを1人で投げ抜き3勝目をあげています。2位には優勝投手のエイジェック・小松圭保投手、完投勝利と救援勝利でチームのベスト8進出に貢献したゴールドジム・玉城彩音投手と履正社高校・大向真央投手がランクインしています。

最優秀防御率:クラブ選手権と合わせて26イニング連続無失点を記録

選手名所属チームイニング防御率
1石村 奈々阪神TW130.00
2日髙 結衣神戸弘陵学園20 2/30.34
3小松 圭保エイジェック10 1/30.68
4竹村 理エイジェック90.78
5樫谷 そら神戸弘陵学園121.17

最優秀防御率は13イニングを無失点に抑えた石村奈々投手。石村投手はクラブ選手権と通算して26イニングを無失点。チーム投手内では最年少ながら、堂々たるピッチングでクラブ選手権の優勝、全日本選手権の3位に貢献しています。2位-5位には優勝のエイジェック、準優勝の神戸弘陵学園高校からそれぞれ2投手がランクイン。4投手はいずれも完投勝利をあげており、チームの躍進に大きく貢献しました。

WHIP:走者すらも許さない投球でチームを決勝戦まで導く

選手名所属チームイニング防御率WHIP
1日髙 結衣神戸弘陵学園20 2/30.340.68
2永田 聖佳エイジェック92.330.78
3石村 奈々阪神TW130.000.85
4小松 圭保エイジェック10 1/30.680.87
5清水 美佑埼玉西武LL122.331.08

1イニングあたりに許した出塁を表すWHIPは神戸弘陵学園高校・日髙結衣投手が1位に。日髙投手は3試合20回2/3を投げ、許したランナーは1イニングあたり0.68人。塁に出ることすらも難しい好投でチームを決勝まで導きました。

K/7:フォームを変更し大会に臨むも奪三振能力の高さは健在

選手名所属チーム回数奪三振K/7
1清水 美佑埼玉西武LL1295.25
2小松 圭保エイジェック10 1/374.74
3竹村 理エイジェック964.67
4石村 奈々阪神TW1363.23
参考小野寺 佳奈エイジェック6 2/368.40
参考里 綾実埼玉西武LL885.25

1試合(7イニング)当たりいくつの三振を奪うかを表すK/7は5.25を記録した埼玉西武LL・清水美佑投手が1位に。クラブ選手権後、再度スロー気味のフォームに変更した清水投手はオーバースローの時と変わらない奪三振能力で集計選手中最多の9奪三振を記録した。規定投球回以下ではエイジェックの小野寺佳奈投手が8.40という圧倒的な数値を記録。高卒2年目で日本代表候補にも選出された小野寺投手は力強い直球と高い奪三振能力が持ち味で、今後の女子野球界を背負っていくことが期待される投手です。

BB/7:2先発で無四球の安定した投球で優勝に貢献

選手名所属チームイニング四球BB/7
1永田 聖佳エイジェック900.00
2樫谷 そら神戸弘陵学園1221.17
3小松 圭保エイジェック10 1/321.35
4日髙 結衣神戸弘陵学園20 2/351.69
5清水 美佑埼玉西武LL1242.33

1試合(7イニング)当たりいくつの四球を与えるかを表すBB/7は9イニングを投げて無四球の投球を披露したエイジェック・永田聖佳投手が1位に。永田投手は今大会では初戦・決勝戦と大事な試合の先発を担い、合計9イニングを投げ無四球。安定した投球で確実にゲームを作り、チームの大会連覇に大きく貢献しています。

K/BB:優勝のエイジェック投手陣が好成績を記録

選手名所属チーム回数K/7BB/7K/BB
1永田 聖佳エイジェック92.330.00
2小松 圭保エイジェック10 1/34.741.353.50
3清水 美佑埼玉西武LL125.252.332.25
4樫谷 そら神戸弘陵学園122.331.172.00
参考里 綾実埼玉西武LL85.250.00
参考小野寺 佳奈エイジェック6 2/38.401.058.00

三振と四球の比率を表すK/BBは9イニングを投げて無四球の投球を披露したエイジェック・永田聖佳投手が1位に。三振と四球は野手の影響を受けないプレーのため、純粋に投手の能力を測ることができます。優勝のエイジェックは2位にも小松圭保投手がランクインし、投球回は少ないものの小野寺佳奈投手が8.00という好成績を残すなど、『エイジェックは投手力が高い』という印象を裏付ける結果となりました。

投手ランキング、いかがでしたでしょうか?

大会を通して観戦した直感的には神戸弘陵のエース・日髙投手が圧倒的な成績を残しているのではと思いましたが、各分野で細かく見ていくと様々な投手が活躍していたことがわかりました。もちろん、数値上では表せない部分での活躍や凄さはありますが、各種成績を比較することで、投手のタイプや長所が分かり、観戦時の見るポイントも変わってくると思います。

明日は準々決勝進出8チームの打撃記録を集計して紹介していきます。お楽しみに!!

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