
10月8日に開幕し、3日間の日程を終えた全日本選手権。大会3日目準々決勝4試合の模様をお届けします。

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大会3日目(10月10日)全試合結果
第1試合:阪神タイガースWomen vs 履正社高校

クラブ選手権覇者の阪神タイガースWomenが昨日の2回戦をサヨナラ勝ちで勢いに乗る履正社高校相手に快勝。昨年大会の成績を超え、準決勝進出を果たした。
阪神TWは2回、履正社OGの蜜浦さくらの二塁打を皮切りに1点を先制すると、5回には3番三浦伊織の適時三塁打と5番中江映利加の適時打で2点、6回にも三浦伊織に適時三塁打が飛び出し2点を追加。効率的に得点を重ね、5点のリードを奪う。投げては先発の植村美奈子が6回を3安打零封。最終回に登板した坂東瑞紀が1点を失うも1死満塁のピンチを切り抜け、逃げ切り勝ちとなった。

敗れた履正社は先発の大向真央が強力・阪神打線を相手に4回までに4奪三振の好投を見せ、合計4投手の継投で挑んだ。最終回には1点を返し、1死満塁のチャンスを作り阪神TWを追い詰めるも、力及ばず準々決勝敗退となった。

阪神タイガースWomen・植村美奈子投手
「(履正社は、)力がある真っ直ぐもしっかりと弾き返してくるチームなので、そこをうまくゾーンをうまく使ってかわしながらピッチングができたと思います。無理に真っ向勝負をしないということを鶴コーチと話していたので、序盤・中盤・終盤で球種やコースを変えながら、(捕手の)中江選手と打ち合わせをしながらその通りに投げれたことが良かったなと思います。」
履正社高校・橘田恵監督
「(対戦した阪神について、)王者の貫禄を感じましたね。(履正社高校OG)の蜜浦が調子が良いことは分かっていたので、『蜜浦に初球打たれるなよ』と話していましたが、打たれてしまいました。卒業生の活躍は嬉しい気持ちもあるので複雑でした。(最終回の反撃について、)底力を見せてくれたかなと。1.2.3年生がそれぞれ見せ場を作ってくれた大会になったかなと思います。」
履正社高校・真砂寧々主将
「監督が明日から海外遠征に行かれる関係で、今日が勝っても負けても最後の試合だったので、全力で楽しんでいこうと挑んだ試合でした。バッティングのパワーや細かな技術、ピッチャーのコントロールや変化球のキレなど、凄く差があったかなと思います。(高校野球生活を振り返って、)楽しい時の方が多かったですが、苦しい時もあり、ほとんど試合に出れない時期がある3年生もいた中で、全員が一つになって最後はできたのかなと思います。」
第2試合:神戸弘陵学園高校 vs ゴールドジム

全日本選手権初制覇を狙う秋の高校王者・神戸弘陵学園高校がゴールドジムを下し、高校勢唯一となる準決勝進出を決めた。
神戸弘陵打線は初回からゴールドジムの先発・玉城彩音を攻める。1死から辻本優夏・正代絢子・島田羽菜の3連続長打で2点を先制すると、続く國富瑞穂が手堅くスクイズを決めこの回3点目を挙げる。初回から援護をもらった先発の2年生左腕・樫谷そらは7回を4安打無四球完封。神戸弘陵は6回にもダメ押しの1点を追加し、4-0で逃げ切った。

敗れたゴールドジムはサイドスロー玉城彩音が初戦の完投、2回戦のリリーフに続き、3連投での登板となったが、左打者に立ち上がりを捉えられ失点。攻撃では4本の安打を放つも3つのダブルプレーと1つの走塁死で打者21人で抑えられる結果に。ジャイアンツ女子との合同チームで挑み、全日本選手権初勝利、ベスト8進出と勢いを見せたが準決勝に進むことはできなかった。

神戸弘陵学園高校・石原康司監督
「上手く初回に点を取れて、あとは樫谷がよく投げてくれました。継投しか考えていなかったので、良い誤算でしたね。(相手先発の玉城投手は、)左打者がなんとかしてくれるかなと考えていたので、それがハマりましたね。(明日の阪神TW戦について、)それは強いですよね。胸を借りて、ちょっとでも良いゲームにして、思い出に残したいです。もちろん勝負なので、チャンスがあれば頑張りたいです。」
神戸弘陵学園高校・樫谷そら投手
「ブルペンではあまり良くなかったのですが、打たせて取ることができたので良かったです。自分の持ち味が変化球なので、変化球でしっかりカウントをとって、持ち味を活かせたと思います。先発ということで緊張はしていましたが、楽しくできたので良かったなと思います。最後までいこうとは思っていなかったので、嬉しかったですし自信になりました。」
神戸弘陵学園高校・島田羽菜選手
「(初回の適時三塁打について、)ここまでの2試合でチャンスの場面で打てていなかったので、絶対に三塁ランナーを返そうと思って打席に入りました。高校生と比べるとピッチャーの球は速くて、変化球のキレもあるので、対応していこうという意識は持っていました。優勝しか見ていないので、一戦一戦チーム一丸となって戦っていきたいと思います。」
第3試合:九州ハニーズ vs エイジェック

昨年大会覇者のエイジェックがクラブ選手権準優勝の九州ハニーズに僅差で勝利。大会2連覇に向けて、明日行われる準決勝の一枠を勝ち取った。
エイジェックは初回の守りを3人で終え、2番佐々木希が二塁打を放つと、連続パスボールの間に本塁を陥れ1点を先制する。追う展開となった九州ハニーズは3回、二死から小島也弥が四球を選び盗塁で得点圏に進むと、続く深海舞絵が適時二塁打を放ち同点に追いつく。

その後、両先発の好投により膠着状態のまま迎えた4回裏、エイジェックの先頭・安達瑠が四球で出塁し、進塁打で2死三塁とチャンスを拡げると、今季新加入の6番大野七海にタイムリーが飛び出し、勝ち越しに成功。援護をもらったエイジェックの先発・小松圭保は最終回に一打逆転のピンチを作るも、最後は三振を奪いゲームセット。完投勝利でチームを準決勝進出に導いた。

エイジェック・小林茂生監督
「選手が頑張ってくれました。安達の守備、湯浅の守備、阿部の守備、それから小松の気持ちのこもった投球から執念を感じられました。お互い良いところも悪いところも知っているので、やりにくい面もあったかと思うのですが、最後は気持ちだと思います。点を与えなければ負けはないので、バッテリーを中心とした野球を目指しています。今年はピッチャー陣の頑張りで勝てているので、打線が頑張ってピッチャーを楽にさせられる展開に持っていきたいなと思います。」
エイジェック・小松圭保投手
「1点取られたところはまだまだかなと思いました。(相手打線の多くが)去年まで一緒にやっていたので、他のチームよりは打たれたくないという気持ちがありました。特に小島選手は大学も同じだったので、一番打たれたくないなとは思っていました。先頭打者を出してしまうと足を使ってくるチームなので、先頭を一番意識してやっていました。」
九州ハニーズ・宮地克彦監督
「取られたというよりはこっち側のミスで本当に貴重な先制点をあげてしまったというところから始まり、そこで同点に追いつけたという勝負強さは大したものだなと思いました。(対戦したエイジェックについて、)ディフェンス力、打撃力、走力含めて総合的に1枚も2枚も上手だなと思いました。その中で1対2という結果だったので、いい勝負はできたかなと思います。」
第4試合:東海NEXUS vs 埼玉西武ライオンズ・レディース

昨年大会の準々決勝と同一のカードとなったこの試合は、埼玉西武LLが東海NEXUSに僅差で勝利し、昨年雪辱を果たした。
試合の主導権を握ったのは西武LL。3回裏1死から2番田中美羽の安打、3番英菜々子の四球とパスボールで二三塁のチャンスを作ると、4番豊田京花の犠牲フライで1点を先制する。さらに西武LLは5回にも3番英が四球で出塁すると、4番豊田がこの日2打点目となる適時二塁打で1点を追加し2点のリードを奪う。援護をもらった西武LLの先発・清水美佑は毎回走者を許し、最終回には1点を失うも要所を締めるピッチングで完投勝利をあげた。

敗れた東海NEXUSは小原美南・堀田ありさの継投で昨日9得点の西武LL打線を2失点に抑え、最終回には代打で出場した藤田理子の四球を皮切りに1点を返すも、あと1点が遠く無念の準々決勝敗退となった。

埼玉西武LL・清水美佑投手
「最後の1点はあげてもいい点だったので、チームが勝つことができて良かったと思います。チームとしてもNEXUSさんには去年負けている相手なので勝ちたいという気持ちはありましたし、私としてもクラブ選手権でチームに迷惑をかけていたので、どうにかしてチームの力になりたいと思って投げました。(明日の準決勝・決勝について、)『いけ』と言われたらいつでもいけます。投げさせてもらえるのであればいくらでも投げれます。」
大会4日目(10月11日)準決勝・決勝戦 予定・見どころ
28チームが女子硬式野球日本一を争うこの大会もいよいよ大詰め。大会4日目の明日は準決勝・決勝の3試合が行われます!!